森林の“厄介者”が生み出した新たな食材ビジネス

美味しいタケノコと悩ましきタケ(後篇)

2018.04.20(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

「食材の国産化」が後押しに

 メンマだけを見てみても、いま日本で食べられているほとんどは中国産で、現地での生産量は3500トンともいわれる。だが、中国でメンマの主原料となっているマタケの現地での生産は衰退傾向にあり、これからも日本に安定的に輸入され続けるかは不透明だ。

 日本国内の食品業では、王将のように国産食材を推進する動きが見られている。食材の国産化が進めば、さまざまな食品の用途で乾タケノコの需要がさらに増えそうだ。「これからの食品業界が国産食材に切り替わっていくほど、乾タケノコの需要も増えていく。私のねらいはそこにあります」と、上川さんは話す。

 大洲市をはじめとする愛媛県での乾タケノコの生産量は、10トンを超える年が出始めたくらい。食材の国産化や新たな用途の開発のほか、作業人材の確保といった高いハードルもあるが、大きな産業に発展していく可能性も秘めている。

 いまのところ、見えてくるのは利点ばかりだ。まず、効果のほどを見ていく必要はありそうだが、竹林管理が進むことで山林荒廃をある程度は食い止められるかもしれない。また、林業者や農業者の新たな収入源になるし、自治体にとっては税収増にもなりうるといったお金の面での利点もある。さらに、山間地域で暮らす生産者たちの健康や生きがい、またコミュニティの活性化にもつながりうる。

「タケノコは毎年、出てくる厄介者。けれども発想を転換すればおもしろいことになるのだと思います」(上川さん)

 日本人とタケやタケノコの関わりに、1つの形が加わろうとしている。それは私たちの食生活も豊かにするものだ。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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