昭和バブルの「象徴」に挙げられることの多いジュリアナ東京(写真:Fujifotos/アフロ)

日経平均株価が34年ぶりに高値を更新し、連合が発表した2024年春闘の4次集計では賃上げ率が平均5.20%に上った。「令和バブル」との指摘もあるが、円安や物価高を理由に「実感がわかない」という声も多い。そうした中で独自の「バブリーライフ」を送っている人もいる。昭和バブルから30余年、当時のバブルを引きずる“アラ還女子”だ。還暦を間近に控え、「老後が心配」と言いつつ生活をダウンサイジングするつもりは毛頭ない。そんな彼女たちの実態と本音に迫った。

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

シングルで実家暮らし、両親の介護もないが…

「ファイナンシャルプランナー(FP)に老後の相談をしたら、『あなたの老後資金は65歳で枯渇します』と言われちゃった……」

 先日、50代後半の知人女性からそんな話を聞かされた。それは大変と差し出されたライフプランシート(相談者の将来設計を反映したキャッシュフロー表)を見て愕然とした。

 年間の収入300万円に対して支出が600万円超。これでは老後資金が10年もしないうちに底を突くのも無理はない。しかし、彼女はシングルで、かつ実家暮らしだ。どうしたらそれほど支出が膨らむのか?

「お父さんやお母さんの介護が大変だったりする?」と尋ねると、「いやいや、うちの親は超元気だから」という。「じゃあ、どうして毎年600万円もお金が出ていくわけ?」と追及すると、「旅行とか、いろいろお金がかかるんだよね」と口ごもる。

年に1~2回は「アマン」「シックスセンシズ」などの高級リゾートへ

 聞けば、コロナの前までは毎月のように沖縄や離島のリゾートステイを楽しみ、年に1~2回は「アマン」や「シックスセンシズ」といった海外の高級リゾートにも出かけていたらしい。旅行が叶わなかったコロナ禍には人生最大の貯蓄ができたとか。

「南の島は私の生きるエネルギー。『NO TRAVEL, NO LIFE(旅行なしの人生なんて考えられない)』だよ」。目を輝かせながらそう話す彼女は、今年もハワイに出かけ、ワイキキの新しいリゾートホテルやクルージングを満喫してきたという。

日本円が弱くなり、海外の高級リゾートは高嶺の花になりつつある。写真はイメージ(写真:AbElena/Shutterstock.com