和食で人気の筍、意外と新しかった日本への伝来

美味しいタケノコと悩ましきタケ(前篇)

2018.04.13(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
筍(タケノコ)。タケの地下茎から生じた若芽・写真のような太いものはモウソウチク。

 筍(タケノコ)の旬は春。青果店では、段ボール箱にどっさり入った生の太いタケノコが売られている。茹でてあく抜きして短冊切りにし、菜の花とともにさっと煮たり、お米と混ぜて炊いたり。だしが染み通る一方で、歯応えはしゃきっ。春を感じる人もいるだろう。

 日本人の食におけるタケノコも、日本の風景におけるタケも、当然の存在であるように感じられる。だが、日本で主流のタケの種は、江戸時代に大陸からやってきた外来種。食材としてのタケノコが全国的に広がったのも、江戸時代以降。ずっと古くから日本人とタケやタケノコは親密な関係にあったわけではないのだ。

 近年では「竹林放置」の問題も叫ばれている。現代のタケは、タケノコという美味をもたらす恵の源であるとともに、周りの木々を侵す環境問題の源でもある。二面性を持たされているのだ。

 今回は、タケノコを主な題材に、日本人とタケの関係を眺めてみることにした。前篇では、日本に「タケノコを食べる」ということがどう普及していったのかを追っていく。江戸期のモウソウチクの輸入は大きな契機であり、食の恩恵と自然環境の問題の両方をもたらしたのである。

 では、放置竹林による山林荒廃の問題に対して、打つ手はないだろうか。後篇では、国産「乾タケノコ」という新しい産業の可能性に着目してみたい。その第一人者に話を聞いてみよう。

記紀の時代から食べられていた

「竹(たけ)」の語源ははっきりしないが、成長するタケノコの勢いのよさを表す「猛(たけ)る」の語と関係があるともされる。タケの特徴はタケノコにありといったところか。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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