2024年2月29日、千葉県松戸市にオープンした1店のセブン-イレブン。全国に2万1363店(2024年2月末時点)を展開するセブン-イレブンのオープンがこれほど注目されることは珍しい。通称「SIPストア」。2023年からオープンが予告されていた、今後のセブン-イレブンの方向性を示す注目店の狙いを紹介しよう。

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 「SIPストア」1号店の正式名称は「セブン-イレブン松戸常盤平駅前店」。直営店(セブン-イレブン本部が経営する店舗)をリニューアルして誕生した店舗だ。

 セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長はSIPストアの目的を2つ挙げる。

「第1にグループのシナジーを表現した店舗であること。セブン-イレブンが50年間培ってきたコンビニのノウハウに加えて、イトーヨーカ堂をはじめとしたグループ各社の良さを持ち寄った。第2に次世代に向けた店舗の在り方を表現した。ここで培ったノウハウを水平展開したい」

 永松社長があえて、“表現”という言葉を使ったのは、SIPストアが新たなフォーマットではなく、今後のセブン-イレブンに展開できる商品構成を探るという意味を強調したかったのだろう。

 「SIP」の名称は、セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)とイトーヨーカ堂(IY)による協働の取り組み「SEJ・IY・パートナーシップ(SIP)」の頭文字から名付けられた。2022年8月、セブン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂の協働は「商品やサービスの相互供給」「アプリを通じた相互送客などの販売促進」「店舗オペレーション」「データ共有」の4つのテーマでシナジー効果を引き出す目的でスタートした。

 この協働の柱の一つがSIPストアだった。

 SIPストアの立地は千葉県内の松戸と津田沼を結ぶ新京成線の常盤平駅北口のすぐそば。住宅街に向かう道路沿いに位置する。

 トレーニングストア(セブン-イレブン・ジャパンに入社した社員が勤務し、コンビニの仕組みを学ぶ店舗)であった旧店舗の事務スペースを売り場に変えて増床した。だから横に長い店となった。売り場面積は約88坪で、レギュラー店舗の2倍以上の広さだ。