ディスカウントスーパーマーケットのオーケーが東京都中央区銀座に「オーケー銀座店」をオープンした。出店場所は銀座西通りに面した商業施設「マロニエゲート銀座2」。今ではファーストリテイリングのグローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO」も入店しているが、周囲は高級ブランドショップなどが集まる高級ショッピングエリアだ。なぜ、ディスカウントスーパーマーケットがそうした立地に出店したのか。

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ディスカウントスーパーマーケットのオーケーはなぜ銀座に出店したのか(本稿)


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 オーケー(本社:神奈川県横浜市、二宮涼太郎社長)はディスカウントスーパーマーケットの代表的企業だ。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に142店舗(2023年3月期)を展開する。

 日本生産性本部(JCSI)が毎年実施する顧客満足度調査で、オーケーは2023年度まで13年連続でスーパーマーケット部門の1位を獲得。オーケーが継続して高い支持を得ていることが分かる(この調査はインターネット調査で、「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「顧客満足」「推奨意向」「ロイヤルティ」の観点から評価。2023年度のスーパーマーケット部門では2位に業務スーパー、3位にイオンが選ばれている)。

 高い人気を博しているとはいえ、ディスカウントを掲げるスーパーマーケットが銀座という日本屈指の一等地に出店したのだ。テレビのニュースでは、オープン日に大量に並べられた299円のロースかつ重を買い求める顧客の姿が報じられた。しかし、これはオープン日だけの特売商品ではない。オーケーでは定番で品揃えし、いつもこの値段で販売しているのだ。

オーケーのEDLPの3つの特徴

 オーケーのディスカウントに対する執着ぶりは「高品質・Everyday Low Price」という企業方針に象徴される。

 この方針を実現するために、商品構成と価格政策に特徴を出す。

 商品構成では、毎週1回行われる商品会議では担当役員、担当バイヤーなどが集まり、バイヤーが新規導入を提案する商品を試食し、食品添加物使用の有無などをチェックする。オーケーでは使用を禁止する食品添加物を決めており、取引先メーカーにも周知。それがハム・ソーセージの発色剤不使用の商品中心の品揃えにつながっている。

 また、価格政策では「特売日」を設けず、EDLP(Everyday Low Price)の「毎日が特売日」という考えだ(毎週月曜日に「オーケー商品情報」というB4サイズのチラシを発行しており、新商品や値下げ商品を告知している)。