2010年代から日本の流通小売業各社はネットスーパーの開発に力を入れてきたが、なかなか普及が進まない状況だ。その大きな理由としては「リアル店舗での買い物を上回るメリットが少ない」ことが挙げられる。また、消費期限が短い食品という商材の観点から、事業者にとっては収益の確保が難しいという事情もある。
そんな中、イオングループのイオンネクスト(千葉市美浜区)は、2023年7月にオンラインマーケット「Green Beans(グリーンビーンズ)」を開始した。大型の物流施設「誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター)」(千葉市緑区誉田町)を拠点として、人工知能(AI)による在庫管理、商品レコメンドなど先端的なサービスを提供する。
「オンラインマーケットがお客様の生活に根付くかどうか、その究極の分かれ目は買い物を“習慣化できるか”にかかっている」と語るのは、イオンネクスト技術責任者CTOの樽石将人氏だ。Green Beansとはどのようなサービスなのだろうか。樽石氏に話を聞いた。
Green Beansで「買い忘れ」を防ぐ?
──小売業界がGreen Beansに注目しています。どのようなネットスーパーなのでしょうか。
樽石将人氏(以下敬称略) Green Beansのコンセプトは「買い物を変える。毎日を変える。」です。食品の買い物は他の商材と違い、毎日行うもので、消費者の生活リズムに根付いています。そんな中オンラインマーケットという新しい買い物スタイルを受け入れていただくには、それ相応のメリット、つまりGreen Beansでしか体験できない買い物のあり方を提供する必要があると考えています。
Green Beansが届けたいのは「日常の買い物時間を減らし、大切な人たちとの時間を増やす」という体験です。食品は、催事やお祝い事といった「ハレの日に買う商品」と、牛乳や卵、米などの「いつもの買い物(定期的に買う商品)」の2つの買い物に分けられます。
Green BeansはAIやCFCでのロボティクスの最新技術、AIレコメンドなど新技術を導入することで、後者の「いつもの買い物」をオンラインマーケットで完結しませんか?と提案しているのです。そうすれば、忙しい時でも常に冷蔵庫には必要な食材が揃っていますし、必需品の買い物に使っていた時間を家族や友人、恋人といった大切な人たちと過ごすことに充てられます。
Green Beansはブランドコンセプトにあるよう、単純に買い物を変えるだけでなく、お客様の日常生活も変えられる存在でありたいと願っています。