規模の小さなシンガポールが、大規模な教育より「山椒は小粒でもぴりりと辛い」研究に力が入っているのが分かりやすいように、各大学には戦略が見て取れます。

 中国はシンガポールより教育に重点がありますが、清華大学の研究水準はすでに世界トップ5に伍すところまで伸びています。北京大学の研究水準はすでに東大のレベルに追いつきつつある、

 こうした勢いを支えているのは、新興国の潤沢な資金です。毎年歳費を削られてカツカツの日本でリサーチはジリ貧状態の大学からすれば羨ましい限りです。

 さらに日本の大学は論文公刊戦略ばかりが重視される傾向を、一個人の私は批判的に見ているものの、この観点からしても中国はB裁定、日本は東大(63点)も京大(50点)もどうにか及第のC裁定でソウル大学に凌駕されつつあるのがよく分かります。

 どうしてこんなことになったのか、どのように対処していけばよいか、細かに書き始めれば、私もアカデミック・ディプロマットを始めて18年になりますので、いくらでも言えることはありますが、ここでは端的に

 「ローカルに自足した島国根性が停滞と衰退をもたらす」

 という一般論だけを記しておきたいとおもいます。ちなみに、私が外交担当しているミュンヘン工大は 東大よりもスコアで5位上にランキクインしています。東大と比較してみると

                 総合点 教育 研究 論文引用 国際性

41位 ミュンヘン工科大学              73.1  60.3  71.2  88.4  66.8

46位 東京大学                           72.7  79.5  85.2  63.7  32.2

 となっている。何度も言いますが、この正体不明の数字に一喜一憂するのは馬鹿馬鹿しいことです。それでも大域的な傾向をつかむことはできるでしょう。

 ミュンヘン工大は教育でも研究でも、まだ東大が指導的に貢献できる余地がたくさんあることが一定察せられます。しかし、ミュンヘンは手堅い論文の公刊戦略で研究の発信力を高めており、またここに引用していない産業界との連携で圧倒的な強さを見せています。