米フィラデルフィア管弦楽団、スト決行の組合と賃上げで合意

著名な音楽家は普通のように体罰を経験している。写真はドイツのザクセン州立歌劇場(ゼンパー・オーパー)で開かれたドレスデン音楽祭のコンサートで、ヤニック・ネゼセガン氏の指揮で演奏するフィラデルフィア管弦楽団。(c)DPA/LIVERILLIG 〔AFPBB News

 先週半ば、ジャズ・トランペッターの日野皓正が彼のスクールの講演ステージ上で中学生にビンタという報道を目にし、久しぶりに胸のすくような思いでした。

 今日日は大人がいろいろ思っても、子供に手を上げてあげる、なんてことはめったにありません。私など最たるもので、絶対にそんなことはできない。なぜと問われれば、端的に言えば「保身」というのが正直なところです。

 東大教員まさかの体罰、とかやられたら、それこそ大変な騒ぎになりかねず、そこまで子供に親身になってやることはできない。

 音楽を教える大人として、子供に、しかもステージの上でビンタを食らわすというのは、アントニオ猪木やらプロレスラーがファンに喝を入れるのとかとは次元が違う、本当に深い思いがなければ、決してやることではないでしょう。

 少なくとも、東京大学では、ここまできちんとした教育は、もう未来永劫不可能じゃないかなと思います。

「理性の府」と「信念の座」

 日頃、私のコラムを読んでくださっている方の中には「伊東が体罰容認。何かの間違いでは?」と思われるかもしれません。

 しかし、私たち音楽家で、それなりにコンクールなどでタイトルを取って残っている者で、師匠に専門を叩き込まれなかった人など、ほとんどいないと思います。

 と、そこまで書いて、実は週末、私のゼミの演奏合宿でしたので、参加してくれた芸大生たちに聞いてみると、実のところ、この頃の先生は優しくて、あまり叩いたりはしない様子であることと知りました。

 ただし、親は違います。クラシック系統の音楽は幼児期からスタートする場合が多く、最初は幼児=サルみたいなものですから、叩かなければ分からないような状況です。少なくとも私自身、親からはさんざん叩かれて育ちました。

 ただし、その方法は、今回のヒノテルの往復ビンタとは、ちょっと違っていました。これについては後で記しましょう。