一方、実際に危機が起きた場合においては、より即効性のある対応が必要となる。例えば3つのことが考えられる。

 まず、インド支持の声明を出して立場を明確にする方法がある。米空母派遣が行われるようであれば(1962年の印中戦争のときは、インド支援のために米国は空母を派遣した)、それに合わせ、海上自衛隊のヘリ空母「いずも」「かが」のインド洋派遣など、目に見える支援を行う方法もある(実際、今回の危機の最中、「いずも」はインド洋で日米印共同演習を実施した)。

 さらに、尖閣周辺に自衛隊を展開させることや、南シナ海で米国が行う「航行の自由作戦」へ自衛隊を参加させるなどして、中国軍を印中国境から東シナ海や南シナ海方面へ再展開させるよう仕向ける方法も考えられる。

 インドが中国との「戦争」に負けて、中国対策で日本に協力しなくなると、日本の対中安全保障は大きな打撃を受ける。

 逆に、インドが日本に感謝して日本との関係を強化する方向に進めば、日本にとって印中の危機はチャンスとなる。

 最近シンガポールで講演したインドの外務次官は、日本とベトナムとの関係強化を打ち出した*2。日本は危機をチャンスに変えられるよう、平時、非常時両方について、インドへの支援を準備しておく必要がある。

*2=インドの外務次官が日本とベトナムとの関係強化を宣言したした原文は以下
Ministry of Foregin Affairs Government of India, “Speech by Dr. S. Jaishankar, Foreign Secretary to mark 25 years of India-Singapore Partnership at Shangri La Hotel, Singapore”, July 11, 2017
http://www.mea.gov.in/Speeches-Statements.htm?dtl/28609/Speech_by_Dr_S_Jaishankar_Foreign_Secretary_to_mark_25_years_of_IndiaSingapore_Partnership_at_Shangri_La_Hotel_Singapore_July_11_2017