いよいよ切れた「減産ゲーム」の神通力

減産延長の動きに市場は無反応、原油価格は大幅下落の恐れ

2017.03.31(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49577
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 米FRBの利上げなどもあり、中国の短期金融市場での資金逼迫はますます進んでいる。当局がコントロールできないシャドーバンキング部門で大きな痛みが生じており(3月22日付ブルームバーグ)、GDPの40%にまで拡大した理財商品の分野で大きな問題が生ずるとの懸念が高まっている。

 今後、中国では資産デフレが起きる可能性が高い。原油需要にとって大きなマイナス要因になることは間違いないだろう。

シェール企業の大量倒産が再び?

 供給面からの下押し要因もある。米国におけるシェールオイルの生産コストの劇的な低下である。

 3月24日、英蘭シェルは、パーミアン地域(テキサス州が中心)で新たに採掘を始めるシェールオイル事業は「原油価格が1バレル=20ドルでも利益が出る」との見方を示した。パーミアン地域全体の採算ラインは同30ドルを切るとの評価があるが、20ドルという数字はOPECをはじめとする主要産油国にとって衝撃的であろう。

 しかしこの数字の根拠は薄く、シェール企業は楽観的ではいられない。

 石油サービス部門に詳しい専門家は、「技術革新による生産コスト低下の寄与は1割にしか過ぎない。残りの9割は石油サービス価格の大幅値下げによるものである」と指摘する(3月22日付OILPRICE)。

 例えば、1日当たりの石油掘削装置(リグ)の利用料は2014年9月に2万7000ドルだったが、2015年3月に1万7000ドルと大幅に下落した。ハイテクリグの場合では利用料が5分の1になったケースもあるという。しかし稼働するリグが急増することで「買い手相場」から「売り手相場」となり、利用料が急激に上昇する可能性も高い。

 原油価格が下落したことで、金融機関がシェール企業に対する与信を引き締める動きも出始めている(3月22日付OILPRICE)ことにも注意が必要だ。

 石油メジャーを中心にシェールオイル開発が活発化すれば、原油価格が1バレル=40ドル割れという事態になり、「シェール企業の大量倒産」が再来することだろう(3月27日付OILPRICE)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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