横展開のポイント②
ノンコア事業を売却して不織布・吸収体関連に集中

 実は、ユニ・チャームの祖業は現在の主要事業と全く異なっています。事業転換によって、現在の事業構成になったのです。

 ユニ・チャームは、1961年に建築資材の製造・販売で創業しており、当時の社名は「大成化工」でした。1963年には生理用ナプキンの製造・販売を開始し、1974年には生理用タンポン分野にも進出。同年に現在の社名であるユニ・チャームになりました。その後、今のユニ・チャームのコアとなる不織布・吸収体関連の事業を拡大させ、1976年に上場しました。

 1980年代後半から1990年代には、海外展開を開始してアジア地域を強化すると同時に、さまざまな新事業にも乗り出し、幼児教育事業や結婚情報サービス事業、リゾート事業なども展開していました。

 しかし2000年代に祖業であった建材事業を含めてノンコアと判断した複数の事業を売却し、不織布・吸収体関連の事業に経営資源を集中させました。大胆に事業ポートフォリオの再編を図り、現在のユニ・チャームへの変貌を遂げたのです。コア事業以外の撤退は、創業者の高原慶一朗氏から経営を引き継いだ、長男の高原豪久社長による決断でした。

 ただし、この頃に開始したペット事業は、同社のコアと親和性があったため、今日まで成長を支えています。1986年に多角化の一環として開始し、1998年に味の素ゼネラルフーヅからペットフード事業を吸収しました。2011年には米国ペット用品大手ハーツ・マウンテンを買収し、事業拡大を図りました。

 その後、ユニ・チャームはグローバルな成長を加速させていきます。今ではアジア以外にも、アフリカや南米などの成長市場に参入しています。

<連載ラインアップ>
第1回 ユニ・チャームは「成熟期」を迎えながら、なぜ高PBRを維持できるのか?
■第2回 不織布・吸収体に経営資源を集中、ユニ・チャームの高収益を支える「本業多角化、専業国際化」とは?(本稿)
■第3回 新興市場がユニ・チャームの成長を牽引、海外展開を成功に導く「勝ちパターン」とは?(11月1日公開)
■第4回 年間入園者数が3000万人を突破、東京ディズニーリゾートはなぜ驚異的なリピート率を維持できるのか?(11月7日公開)
■第5回 「待ち時間を減らす」東京ディズニーリゾートの“客単価”を引き上げたオリエンタルランドの方針転換とは?(11月14日公開)

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