事例・参考例:カルビー「じゃがりこ」

 カルビーは多くのヒット商品を有する食品メーカーですが、顧客の意見を新商品開発に活かすコミュニティ共創型の企業としても有名であり、商品ごとにコミュニティを用意しています。

 例えば、「じゃがりこ」の会員制ファンコミュニティ「あつまれ! とびだせ! じゃがり校※2や、「堅あげポテト」のコミュニティ「堅あげポテト 応援部」などがあります。「じゃがりこ」は1995年に発売されたスナック菓子で、当時からファンとのコミュニケーションを大切にしていました。2007年に誕生した会員制ファンサイト「じゃがり校」は、14年間も続いた息の長い共創型コミュニティとなりました。

「じゃがり校」のコンセプトは学校です。そのため4月に新年度がはじまり、1年かけて1つの商品を、参加している顧客と社員とが一緒に創ります。

 例えば、4月に生徒(顧客)に対して新しい味(フレーバー)を募集すると、1000を超えるアイデアが投稿されます。そこから「商品コンセプト」「 味」「パッケージ」「キャッチフレーズ」「プロモーション」などの商品作りを、生徒とカルビーの開発担当者やマーケティング担当者が共に進めていきます。

 生徒である会員顧客にとっては、アイデアを出した商品に対して思い入れが強くなるため、共同開発した商品は年間でもトップの売上を記録する結果となることが多いです。顧客と共同開発された「アスパラベーコン味」や「ガリバタ醤油味」は発売とともにヒット商品になりました。

※2 「あつまれ! とびだせ!じゃがり校」のWebサイトの運用は2021年に終了し、公式SNSに機能を移行しています。

<連載ラインアップ>
第1回 斬新な着想を得るための「ランダム刺激発想法」とは?
■第2回 商品開発のプロセスに顧客を巻き込む「コミュニティ共創法」と実施のポイントは?(本稿)
第3回 顧客の「欲しい」を見つける「バリュー・プロポジション・キャンバス」の使い方とは?
第4回 ライバルとの比較で独自のビジネスを構想する「戦略モデルキャンバス」の使い方とは?
第5回 「儲ける仕組み」と「コスト構造」を明らかにする「収益モデル」の使い方とは?
第6回 新たな成長戦略の策定に活用できる「アンゾフの成長マトリクス」とは?
第7回 経済学者H・ミンツバーグが提唱したSWOT分析の発展形とその使い方とは?
第8回 注力すべき事業・商品・顧客が分かる「パレート分析」とは?

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