コニカミノルタ 人事部人財採用グループリーダー(部長)の築澤 孝治氏(撮影:酒井俊春)
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 新たな事業領域への進出や拡大、DX推進に伴うビジネスポートフォリオの変化などにより、多くの企業でIT・デジタル人材の増強が必要不可欠となっている。企業はどうすれば引く手あまたの人材を採用し戦力化できるのか。事業ポートフォリオの転換を進めるコニカミノルタで採用責任者を務める築澤孝治氏に、同社の人材戦略について話を聞いた。

求める人材を明確にするとともに、社内の制度を整備

 コニカミノルタでは2006年に撤退したカメラ事業で培った技術などをベースに、現在は大きく4つの領域で事業を展開するとともに、さらなる事業ポートフォリオ転換を進めている。

築澤 孝治/コニカミノルタ 人事部人財採用グループリーダー(部長)

フォトイメージング事業にてマーケティング、国内・海外カスタマーサポートを従事した後、新規事業創出を担う。その後、人事部に異動し、採用、制度設計、経営幹部育成プログラムの立上げ、HRBPの責任者を担うなど人事領域を幅広く経験した後、2021年より採用責任者を担う。

 経営戦略の変化に伴い、いわゆるDX人材の獲得や育成が急務となっている。同社ではまず、具体的にどのような人材が必要なのかを明確にすることとした。そうして示されたのが、グローバル4万人の従業員に求められる「プロフェッショナル人財」である。築澤氏は次のように説明する。

「それぞれの領域における優れた知識や知見、独自のスキルを持つと同時に、課題解決に向けて自ら考え、行動できる。キャリアにおいても自律的に築いていけるような人財です」

 プロフェッショナル人財を定義した後は、そのような人材を育成するスキームを整備していった。新たな学びを支援するために年間最大150万円のお金を補助する「自己啓発支援制度」、最新のDX・IoT技術が習得できる専門部署の創出などである。

 DX人材においては、「AIエンジニア/データサイエンティスト」「ソリューションアーキテクト/ディベロッパー」と大きく2つに分類するとともに、9つのタイプ(ロール)に細分化した。

 さらに各ロールにおけるスキルを「Entry・Standard・Expert」と分けることで、どの領域にどのレベルのDX人材が不足しているのかを明確化。その上で2023年度末までに1000名体制にする、との目標を掲げた。

 このように、経営戦略と重ね合わせながら、欲しい人材のスキルセットや人数を見える化するうちに、自然とキャリア採用に重きを置くようになっていった。