2023年10月に持ち株会社体制に移行した京都フィナンシャルグループ。前編では、土井伸宏社長に京都経済の特徴や課題、持ち株会社体制移行の狙いなどを聞いた。後編となる本稿では、地銀トップクラスの財務健全性を誇る同グループの成長戦略、持ち株会社体制で問われる人材獲得、育成への対応、地域発の産業育成支援、グループ社員の意識改革などを聞く。
人材投資+京都の魅力で人を引きつける
――人材採用について、給与など処遇の改善にも積極的です。
土井伸宏氏(以下敬称略) 賃上げは政府の方針でもあり、日本経済全体で賃上げという流れがあります。当社も新入社員の初任給を従来の22万5000円から26万円に引き上げました。これはメガバンク並みの水準です。
人に対する投資は惜しんではいけないという考えを持っていますが、これからも地域金融機関として優秀な人材が獲得できるように、処遇面を含めた対策を止めずに進めていきます。専門性の高い人材に対して、これまでは全体の処遇の中でこなす形でしたが、それでは中途で優秀な人材が採用できないことがわかりました。別枠の給与体系も必要ではないかという検討も行っていかなければなりません。
――人材獲得は、特にテクノロジー分野で厳しくなっています。京都FGはどのようなアプローチをしていますか。
土井 データ活用の重要性は、以前から考えており、データ活用の専門部署を作り、さまざまな取り組みを始めていました。
最大の課題は、各部門にデータはたくさん眠っているのに、その活用ができていないことです。ある意味、データ分析の専門家にとっては「データの宝庫」ともいえます。当社にとって、データ基盤の整備と人材の確保は重要なテーマです。
ただ、ご指摘のように銀行に限らず、データ人材の確保は難しい。一般的には、東京にオフィスがある場合、東京から離れたくないという人も少なくないようです。
ですが当社には、京都という地の利があり、「京都で働ける」ということが大きなアピールポイントになると思っています。LINEヤフーさんのように、京都にオフィスがあれば日本だけでなく世界から人材を集めることもできると考えており、京都で学んだ学生はもちろん、広く京都の魅力、データがある魅力を伝えていきたいと考えています。