ほくほくフィナンシャルグループ 代表取締役社長 北陸銀行 頭取の中澤宏氏(撮影:榊水麗)

 北陸銀行と北海道銀行が2004年に統合して誕生したほくほくフィナンシャルグループ。地銀統合は地域で面の広がりを追求するケースが多い中、金融危機からの脱却を目途として異色の統合が実現した。それから20年。広域統合はどんな成果をあげたのか。中澤宏社長に聞いた。

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2025年7月9日)※内容は掲載当時のもの

北陸と北海道の歴史的つながりで金融危機を乗り越えた

――ほくほくフィナンシャルグループ(以下・ほくほくFG)は、2024年に発足から20年を迎えました。改めて、グループ設立の経緯を教えてください。

中澤宏氏(以下・敬称略) 当社は2004年に富山・石川・福井の北陸3県を地盤とする北陸銀行と、北海道銀行が統合してスタートしました。地銀の統合として、いわゆる隣接県の地銀が統合する形ではない「飛び地統合」としても話題となりました。北陸と北海道、そして3大都市圏をつなぐ広域ネットワークを有する金融グループの誕生です。

 当時、日本の金融界は、1990年代のバブル崩壊以降の混乱が続いていました。多くの金融機関が傷を負い、いくつかは経営破綻しました。

 北海道では、都市銀行の一角だった北海道拓殖銀行が経営破綻し、地元経済は大きな影響を受けていました。この混乱を鎮め、金融を安定化しなければいけないという命題がありました。北海道地域の2大銀行の1つとして残された北海道銀行は、なんとしても残さなければいけなかったのです。