新しいことに積極的に挑戦する会社の風土が事業を後押し
――御社の事業概要とデジタル活用状況、DXへの取り組みについてお聞かせください。
藤井 弊社では2022年の4月から、新しい3カ年計画である第7次中期経営計画をスタートしましたが、その前の第6次中計のときにふくおかフィナンシャルグループ(FFG)として明確にデジタルトランスフォーメーション、DXを基本方針の一つに掲げました。
それ以前からデジタル・ITをどう活用するか検討はしていましたが、大きく変わるきっかけとなったのは2016年のiBank設立です。2015年ごろから、モバイルアプリによる新しい金融サービスの検討を始めましたが、ここで初めて、デジタルを使った新しいビジネスモデルがFFGの中でも具現化しました。
iBankはFFGの関連会社で出島としての取り組みでしたが、2017年にはFFG本体においてもデジタルによる新しいサービスや商品を企画する部署としてデジタル戦略部(現ビジネス開発部)を新設し、その流れを受けて2019年4月からスタートした第6次中計でDXを基本方針に据えることになりました。
――今の一連の動きを始めるに当たって、その理由やモチベーション、課題についてはどう考えていらっしゃったのですか。
藤井 一言でいえば、環境が大きく変わってきたということです。当時から銀行の窓口に来店されるお客さまは減ってきていましたし、テクノロジーの進化が顕著になってFinTech(金融サービスと情報技術を結び付けることで生まれる新しいサービス・事業)に代表される新しい革新的なサービスがどんどん生まれていたため、銀行はこのままでは異業種にやられてしまうのではないかという危機感を抱きました。デジタル技術を自ら活用して素早く便利なサービスを提供できるようにならなければ、従来の銀行同士の競争だけでなく、他の業界との競争も厳しくなるという課題認識を持ち、徐々にDXに取り組む機運が高まってきました。
――同時期の他の銀行の状況はどうだったのですか。FFGは他の金融機関に比べて先んじているイメージがあります。
藤井 日本の銀行の中で一番かどうかは別として、相対的に早くから取り組んでいたと記憶しています。課題認識はどこの銀行も同じだったと思いますが、それを実践に移せるかどうかの違いが大きいのではないでしょうか。
FFGのカルチャーとして、以前から、新しいことに積極的にチャンレンジするという風潮があります。デジタルに限った話ではなく、例えば、バブル後の不良債権処理については、おそらく日本の銀行で一番早く抜本的な処理を実行しています。
また、FFGというのは元々、福岡銀行と熊本ファミリー銀行が一緒になってFFGという持ち株会社を作り、そこに親和銀行が入り、十八銀行が加わって今の形になっています。持ち株会社という形態を作ったのはかなり早い段階で、それまでにないFFG独自のビジネスモデルを構築したことからも分かるように、弊社には新しいことにチャレンジするというイノベーティブな文化があります。
チャレンジすれば、失敗することも当然あるかと思いますが、失敗をしたからといって、それでその人、あるいはそのチームの評価が悪くなるというようなことはなく、安心して仕事ができる、そういった雰囲気があります。「まずはやってみよう」という会社の姿勢は非常に大きいと思います。