画像提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
IT人材獲得のためには、従来の地方銀行とは異なった給与体系、勤務環境の会社を作る必要があった──。石川県の北國フィナンシャルホールディングスは、2019年に東京に本社を置くシステム開発子会社「デジタルバリュー」を設立した。背景にあったのは、同社が早くから強化してきた「システム開発を外部委託せず内製化する」という姿勢だ。内製化の狙いとシステム開発の体制について、北國フィナンシャルホールディングス 常務執行役員 システム統括部長の新谷敦志氏に聞いた。
開発を全て外部に任せる中で生まれた「危機感」
――北國フィナンシャルホールディングス(以下、北國FHD)では、2007年から内製化の方針を明確にし、自社でシステムやITサービスを開発してきました。そもそもなぜ、早くから内製化の路線へとかじを切ったのでしょうか。
新谷敦志氏(以下敬称略) もともと当社では、2000年頃からほとんどのシステム開発をアウトソーシング(外部委託)していました。その方がコストを抑制でき、また、システム開発は外部のプロに依頼するものだと考えていたためです。当時、多くの金融機関で同様の方法を選択していました。
しかし、そうしたメリットはありながらも、アウトソーシングを続ければ「自分たちでモノを作れなくなる」という危機感を抱くようになりました。今やシステムがなければ何もできない時代です。その開発を全て外部に任せていいのか。ここに課題意識を持ったのです。
北國フィナンシャルホールディングス 常務執行役員 システム統括部長の新谷敦志氏(撮影:榊水麗)
併せて、お客さまにより早く、臨機応変にサービスを届けたいという思いが内製化の根底にありました。
アウトソーシングの場合、あらかじめ委託先の企業と契約内容や予算を決めてから、開発スケジュールを組んでいきます。一方、内製の場合は自分たちで作るので、当然、開発スケジュールや費用も状況に応じて自分たちで調整できます。仮に緊急性の高い案件が後から発生すれば、そちらに人を投入して、優先的に進めることもできる。開発のスピード感や柔軟性を求めるなら、内製化は不可欠だと考えました。






