普段は意識しないが、私たちの身の回りは「容器」で満ちあふれている。ビールやチューハイの缶、コンビニで並ぶペットボトル、アイスクリームやヨーグルトの紙容器、牛乳のびん・・・。生野菜をのぞけば、ほぼすべての食べ物・飲み物は何かに包まれて提供されていると言っても過言ではないだろう。

 このような包装容器には、実は多くの技術が注がれている。もし手元にペットボトルがあるのなら、キャップを見てみよう。よく見ると1カ所だけラインが短い、あるいは小さなくぼみが見つかるだろう。似たようなマークが、ボトルのほうにも付いている。

ペットボトルのキャップ、ボトルに1カ所ずつある「くぼみ」


 これは、飲料工場でペットボトルに中身を詰めた後、キャップとボトルがしっかりと閉まっているか確認するための目印なのだ。すべての作業は機械が行っているが、マークの位置を見て、十分にキャップが閉まっているかを確認している。こうして、キャップが閉まっていない不良品を出荷しないようにしているのである。

 このように、ペットボトルのキャップだけを見ても、隠された技術が組み込まれている。包装容器は、中身を保護するだけでなく、私たちがより便利に使えるようにと、常に進歩している。そのような包装容器を製造販売する会社のひとつが、東洋製罐グループである。
 

始まりは缶詰、
現在は日常生活を支える総合包装容器メーカーへ

 東洋製罐グループの歴史は、1917年の東洋製罐株式会社から始まる。きっかけは缶詰用の缶の規格統一であった。当時は缶詰メーカーがそれぞれ独自の規格で缶を作っていたが、それを標準化したのが東洋製罐である。

大正9年頃の東京工場内の様子


 以来、東洋製罐グループは生活スタイルの変化に合わせて、さまざまな包装容器を手がけてきた。1935年に日本で初めてとなるアイスクリーム用の紙容器を生産し、1958年には日本初のビール缶を発売。1969年には世界初となるレトルト食品の袋を製造した。食品缶詰から始まり飲料容器に拡大し、素材も金属から紙・プラスチック容器などへ発展した。2014年度のグループ全体の売上は7,843億円に上る。私たちの日常生活を支える容器を、年間約500億個も製造している。

 もちろん、環境に配慮した包装容器作りにも注力している。1991年には、材料と製造工程を根本から見直した飲料用缶TULC(Toyo Ultimate Can、タルク)を開発。従来の缶の製造法では潤滑剤を使っており、それを洗い流すために水を使っていた。使い終わった水は、工業用排水として環境に負荷がかかってしまう。TULCでは潤滑剤の役割を果たすポリエステルフィルムを缶の内外面に熱圧着した鋼板材を使い、水の使用量をゼロにすることに成功した。

1991年に開発された「TULC」


 TULC以外にも、東洋製罐はオリジナリティあふれる包装容器を開発しており、国内外で多くの賞を受賞している。最近の缶やペットボトルの形状はバリエーション豊富だが、こういった包装容器メーカーの日々の努力の結晶とも言える。

 東洋製罐グループホールディングスのマーケティングセンター長は「高齢化が進む現在の日本では、少しの力でもキャップが開けやすい容器が求められています。また、かつての大家族が減って一世帯あたりの人数が少なくなり、調味料はこれまでの大量パックでは使い切れず、少量のものが好まれています」と話す。これからも、生活スタイルの変化に合わせ、社会が求める包装容器の開発に取り組むとしている。
 

容器包装技術で培った知識・技術・販路を
ライフサイエンス事業へ応用

 東洋製罐グループは、成長戦略のひとつに「新規事業の創出」を掲げている。新規事業のひとつがライフサイエンス事業であり、食品工場向けに衛生管理用検査サービスGENOGATE(ジェノゲート)の提供をスタートした。

 特に力を入れているのが、食の安全・安心を脅かす微生物(カビや食中毒菌など)の存在をDNAで検出するDNAチップとよばれるものだ。GENOGATEのDNAチップには、3mm四方に64のDNA断片が固定されている。このDNA断片と微生物由来のDNAが結合すると、その場所が蛍光を発する。その光で微生物の有無を判断するのだ。

64のDAN断片によりカビや食中毒菌を検出する、GENOGATEのDNAチップ


 同社のDNAチップ検査法最大の特徴は、多くの微生物を一度に検出できるところにある。従来の方法では、微生物の種類ごとに検査方法が異なり、時間や人手がかかっていた。DNAチップなら、短時間、低コストで多種の微生物を一括検出できる。2015年に多種のカビを一括検出するDNAチップ検査キットを販売し、今後、出血性大腸菌やサルモネラ菌などの食中毒菌4種や、腐敗乳酸菌等、検査キットの更なるラインアップを強化予定だ。

 食品メーカーにとってDNAチップは、原料や商品の検査に使うだけでなく、製造現場の微生物環境を簡便かつ網羅的に把握できるというメリットがある。微生物環境を把握して適切に対策を取ることで、食中毒事件を未然に防いだり、賞味期限を延長したりできるとともに、検査および対策への費用対効果を最大化できるなど展示会では食品メーカーからの問い合わせが多いという。

 DNAチップは一見すると、東洋製罐グループが得意とする包装容器事業とは関係ないように思える。しかし、食品の容器や包装を扱うときに、腐敗や食中毒を引き起こす微生物を把握し、最適な殺菌方法や制御方法を開発・実用化してきた実績がある。微生物における知識を応用したかたちだ。

 また、DNAチップの製造そのものにも、グループ企業の技術が使われている。その表面には高感度な検出を可能とするために、特殊な炭素コーティングをしている。この表面処理技術は、鋼板事業を手がけるグループ会社の東洋鋼鈑によるものだ。

 DNAチップは食品工場や物流拠点での利用を想定したものだが、これは東洋製罐グループの包装容器事業の販売先でもある。つまり、これまでの販路をそのまま活用できるという利点がある。これまで培った知識・技術・販路を応用しようとするのが、DNAチップをはじめとするGENOGATEだ。
 

容器をコアとして周辺分野へ発展したグローバル企業への成長

 総合容器メーカーとしての地位を確立した東洋製罐グループは、今後も包装容器事業を中心としつつも、周辺分野へ発展したグローバル企業への成長を将来像としている。グループ企業は全部で87社だが、そのうちの42社の所在地は海外だ。海外では販売だけでなく、生産拠点の拡充にも取り組む。

本社15階にある「イノベーションギャラリー」 東洋製罐グループの製品でお客様に採用いただいた商品を中心に関連技術まで紹介している


 海外展開とともに、容器製造で培った技術を広く応用し、新たな収益源の確立を目指す。そのうちのひとつがライフサイエンス事業のDNAチップだ。ほかにも細胞培養システム事業に取り組むなど、新たな可能性を広げている。生活の中に溶け込んでいる包装容器と、最先端のライフサイエンス技術の融合を目指し、総合容器メーカーが今後どのような製品・サービスを送り出すのか、注目である。

>>東洋製罐グループのサイトはこちら
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