さらに、忘年会など何かとお金を引き出す機会が多い年末、サラリーマンにとってATMなどの手数料が低いのもネット銀行の魅力だろう。
「じぶん銀行では、三菱東京UFJ銀行や提携のコンビニATMでお預入れはいつでも無料、お引出しにかかるATM手数料は月3回無料でご利用いただけるよう設定しています」
最近はネット銀行に限らず、従来の銀行もインターネットでの取引きができるようになっている。ただ、使い勝手はネット銀行に分があるという声が多い。従来の銀行が、「窓口-ATM」を土台にインターネットバンキングシステムを構築しているのに対し、ネット銀行は最初からネット上で完結するシステムが作られているからだろう。
「じぶん銀行はKDDIが出資していることもあり、ネット銀行のなかでもとくにスマートフォンでの利便性の高さが評判になっています。全米の銀行が加盟する業界団体BAIから『革新的ビジネスモデル特別賞』を受賞しました。もちろんパソコンや携帯からも簡単に取引ができますが、とくにスマホを使っている方なら、直感的な操作が可能です」
銀行をどう使うかには人それぞれの面がある。しかしインターネット取引に関しては、ネット銀行に一日の長があると考えていいようだ。
セキュリティ対策もしっかり
ネット銀行と聞いて、不安を抱くのがセキュリティではないだろうか。「ハッキング」や「フィッシング詐欺」というニュースを聞くことが多い。コンピュータに詳しくない層は尻ごみしてしまう面があるかもしれない。
「もちろんセキュリティ対策は配慮しております。たとえば当行の場合は、普段はATMを利用できなくしておき、使うときだけ携帯でロック解除をする『ATMロック』、普段はパソコンからのネットバンキングをロックし、使うときだけ携帯電話でロック解除をする『パソコンロック』、ATMの出金限度額や振込限度額の設定、振込や出入金のメール通知などをご用意しています」
「さらにATMロックをご利用いただいているお客さまに対しては、万が一お客さまが紛失したキャッシュカードを不正に利用された場合、通常年間50万円までの補償額を300万円まで増額しています」
パソコンや携帯電話から利用するという形態上、ユーザーがセキュリティに不安を抱いていることは、ネット銀行自身もよく理解している。その不安の種を取り除くべく、セキュリティと万が一のときの補償には配慮しているようである。
またネット銀行に対する不安に、口座開設手続きに関するものをあげる人もいる。従来の銀行は窓口に行けばすぐに口座が作れた。しかしインターネット上でうまく申し込めるかが心配だというのだ。
ネット銀行が生まれた当初は、たしかにパソコン上での口座開設手続きが煩わしい面もあった。しかし十数年の歴史で、煩わしさはずいぶん緩和されてきている。むしろ、銀行の営業時間を気にせず、いつでも口座開設ができる分だけ、ネット銀行の方が便利だという意見もある。
「じぶん銀行はスマートフォン、携帯電話、パソコン、郵送で口座開設の申込みができます。スマホアプリを利用すると、運転免許証を写真に撮って添付するだけで完結するので、本人確認書類の郵送も必要ありません。手続きが終われば5営業日くらいでキャッシュカードを郵送します。もちろん口座開設もキャッシュカード発行も無料です。本当に簡単ですよ」
大蔵省が護送船団方式を取っていた時代には「銀行なんてどこも同じ」という言葉がよく聞かれた。1994年に民間銀行の金利が完全自由化された後も、銀行金利に大きな差はつかなかった。
しかし、金融ビッグバンから十余年。ネット銀行の登場により、金利や商品などの面で、銀行の多様化は加速しつつある。自分の用途にあった銀行選び、給与振込や家計管理とは別に貯蓄用のセカンドバンクを開設するのは、当たり前の時代になってきている。