昭和のグラタン、オーブンがない家庭の作り方は?

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(8)グラタン

2018.11.23(Fri) 三保谷 智子
筆者プロフィール&コラム概要

ガスコンロに上置き式の天火、耐熱容器の選び方も紹介――昭和40年

1965(昭和40)年発行の2記事より。「器具 天火の使い方、選び方」(11月号)、「器具 天火に入れる器」(2月号)という各テーマ。
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 我が家の話になるが、ガス台と一体になったガスオーブンが入ったのは、東京オリンピックの翌年1965年(昭和40)年。和式の台所をつぶして洋式のダイニングルームを建て増しした。ステンレスのシンク、調理台、ガステーブルが横一列に並び、その下は収納。目の前の窓をはさんだ上には上置き収納、ガスレンジの上はフードつきの換気扇。いわゆるシステムキッチンの走りである。

 この時、ちゃぶ台などで座って食事をする生活から、憧れのテーブルといすの洋風生活に変わった。自慢はオーブンを入れたことだったと思う。購入した当初、母は料理本と首っ引きでオーブン料理に挑戦した。クッキーやスポンジケーキ、グラタン(マカロニグラタンだった)などだ。オーブンから取り出したときの笑顔を思い出す。もちろん失敗もあった。今でも実家には、その時に購入した家族人数分の船形のグラタン皿が眠っている。

 オーブンのことをまだ「天火(てんぴ)」と呼んでいた時代。本誌では、ガスコンロの上に置くタイプの天火の広告のページも探すことができる。

主食も兼ねるグラタン、ソースには月桂樹の葉――昭和46年

1971(昭和46)年2月号。1人分ずつの器で作り、熱々を皿にのせて供する。
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「マカロニグラタン」は、1人分でマカロニ50g(乾物)を使っており、主食とおかずを兼ねた一品。ソースは、バター、小麦粉、牛乳+ブイヨンで作り、割合は1:1:15。牛乳もブイヨンも温めてから、炒めた粉に加える。最後におろしチーズ、バターのほかに生パン粉をふり、焼き色と食感を増している。

 白ソースの作り方は前項とほぼ同様だが、ソースを煮つめるとき、月桂樹の葉(ローリエ)を加えて風味づけすると。ときどきかき混ぜながら煮る。マカロニはゆでて1人分は150g見当。ほかの材料とともに炒めて半量のソースで和え、バターを塗ったグラタン皿に等分に盛り、残りのソースを等分にかけてチーズ、パン粉、バターをちらし、焼く。

 このときも、裏面の「応用」には、天火のない場合は熱い白ソースであえ、きつね色に炒めたパン粉をふって供してもよいと明記してあり、天火を持っていない家庭にも配慮した伝え方をしている。

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三保谷智子(みほやともこ)

栄養と料理』元編集長。2011年4月から香川昇三・綾記念展示室勤務。学芸員。

東京都出身。1977年立教大学文学部史学科卒業後、香川栄養専門学校栄養士科(現 香川調理製菓専門学校)へ進学、「栄養士」の資格を取得。その後、1979年女子栄養大学出版部雑誌編集課に入職、約30年『栄養と料理』の編集に携わる。1988年より2011年まで、10年間編集長を務める。途中、同部マーケティング課、書籍編集課に在席。

独立行政法人国立健康・栄養研究所外部評価委員。「食生活ジャーナリストの会」会員、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」会員、NPO法人「くらしとバイオプラザ21」理事。現在、『栄養と料理』で連載「レシピの変遷シリーズ」を執筆中。


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