昭和のグラタン、オーブンがない家庭の作り方は?

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(8)グラタン

2018.11.23(Fri) 三保谷 智子
筆者プロフィール&コラム概要
1935(昭和10)年8月号の「栄養と料理カード」。当時の計量器は現在のものと容量が異なる。「瓦」は「g」。「鹽」は「塩」の旧字。
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 この白ソースをどんな料理に使うか。栄養と料理カードから選ぶと、昭和10年代掲載の「クリームポタージュ」「花キャベツのグラタン」、同30年代掲載の「マカロニグラタン」「卵とカニのクリームあえ」、同40年代掲載の「魚のグラタン」「マカロニグラタン」「カニのコキーユ」「クロケット(クリームコロッケのこと)」「卵のグラタン」がある。コキーユは、貝殻形の器に魚介類をソースと和え、パン粉やチーズをのせてオーブンで焼くグラタンの一種だ。

 グラタンやコキーユを作るには、天火(オーブン)と耐熱性の焼き皿が必要だが、どれだけ家庭に普及していたのだろうか。

玉ねぎ入りの白ソース、天火がなければクリーム和えでも――昭和31年

1956(昭和31)年2月号。「オンス」や「匁(もんめ)」「cc」の表記があり、ヤードポンド法や尺貫法、メートル法が混在している。小さな広告入り。
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 玉ねぎの薄切りが入っているので、小麦粉が散りやすくてだまになりにくく、作りやすい白ソース。泡立て器と木じゃくしを使い分け、泡立て器で小麦粉を散らして液体に溶かし、混ぜながら煮つめるときは木じゃくしにかえる。液体は温めた牛乳とブイヨン(煮出し汁)を2:1の割合で合わせたもの。仕上がりは約2カップ弱。1人分のソースは70cc見当。

 準備した具を白ソース2/3量で和えてグラタン皿(バターを塗っておく)に入れ、残りの白ソースをかけ、おろしたチーズとバターをちぎりのせて強火の天火で7~8分焼く。天火がなければ、焼かないでクリーム和えでよいと解説するが、クリーム和えでそのまま食べるのと、クリーム和えを焼いてグラタンで食べるのとでは大違い。

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三保谷智子(みほやともこ)

栄養と料理』元編集長。2011年4月から香川昇三・綾記念展示室勤務。学芸員。

東京都出身。1977年立教大学文学部史学科卒業後、香川栄養専門学校栄養士科(現 香川調理製菓専門学校)へ進学、「栄養士」の資格を取得。その後、1979年女子栄養大学出版部雑誌編集課に入職、約30年『栄養と料理』の編集に携わる。1988年より2011年まで、10年間編集長を務める。途中、同部マーケティング課、書籍編集課に在席。

独立行政法人国立健康・栄養研究所外部評価委員。「食生活ジャーナリストの会」会員、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」会員、NPO法人「くらしとバイオプラザ21」理事。現在、『栄養と料理』で連載「レシピの変遷シリーズ」を執筆中。


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