主要産油国の増産見送りは何を意味するのか

市場の「強気」の見方に反して台頭する下落リスク

2018.09.28(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54214
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「米国は中東諸国を守っている」とトランプ大統領がツイートしたように、米軍は少なく見積もっても年間810億ドルの経費をかけて世界の原油供給の安全確保に努めている(9月24日付OILPRICE)。イラン核合意からの一方的な離脱に加え地政学リスクを高めるような行為を続けていれば、米軍予算がいくらあっても足りないだろう。

サウジで「反体制派」王子が海外逃亡

 最後にサウジアラビア情勢について触れておきたい。

 JMMCやイランでの武装組織の攻撃の影に隠れ世間の耳目を集めていないが、サウジアラビアが主導するアラブ連合軍は9月17日、イエメン西部のホデイダ港の奪還作戦を再開した。イエメンでの軍事介入を終結させるため6月からホデイダ港への攻撃を開始していたが、多数の犠牲者が発生し、7月に入ると膠着状態に陥っていた。

「今回の攻撃は前例のない激しいものだ」とアラブ連合軍の司令官は豪語しているが、その背景にはムハンマド皇太子の「焦り」が透けて見える。毎月50~60億ドルの軍事費を浪費しても大きな勝利が得られない状況下で、サウジアラビア国内での反発が高まり、サルマン国王とムハンマド皇太子を名指しで批判したアフマド王子(元内相、国王の実弟)が18日に海外(英国か?)に逃亡する事態が発生した。

 サウジアラビア国民に敬愛され次期国王の呼び声もあるアフマド王子が、海外で拠点を築き反転攻勢に出れば、ムハンマド皇太子の地位は一層不安定になってしまうのではないだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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