なぜ原油価格は地政学リスクでも上がらないのか

原油市場に供給過剰の懸念、下落トレンドは時間の問題か

2018.08.03(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53726
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イエメン武装組織、紅海で石油タンカー2隻攻撃 サウジが輸送停止措置

イエメン沖で活動する米海軍のミサイル駆逐艦が演習を行う様子(2017年2月3日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO /US NAVY/MC3 BRIANNA K. GREEN〔AFPBB News

米WTI原油先物価格は、中東地域の地政学リスクの上昇にもかかわらず、1バレル=60ドル台後半にまで下落している。

米国がイランへの制裁を開始

 地政学リスクとして第一に挙げられるのはイランに対する米国の制裁開始である。

 8月からはイラン政府によるドル購入の制限などが始まり、市場関係者が最も注目している原油関連の制裁は11月から始まる。

 制裁開始を前に、イランと米国の舌戦が緊迫化している。米国の制裁に反発したイランのロウハニ大統領が、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖や軍事衝突も辞さない構えを示したのに対し、トランプ大統領は7月22日、ツイッターで「米国を脅せば歴史上経験したことのない重大な結末を招くことになる」と警告した。

 その後、「米軍はイランへの軍事攻撃(核施設が対象)を準備している」と豪州メディアが報じたために、7月27日、マティス米国防長官が記者団に対して「現時点では(イランへの軍事攻撃は)検討されていないと確信している。作り話だ」と火消しに走る事態を招いた。

フーシの攻撃にさらされるサウジアラビア

 中東地域の地政学リスクはイランだけではない。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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