高齢者こそ脂肪を摂るべき! 認知機能への効果とは

科学研究から見る、食と脳・こころ(前篇)

2018.06.08(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

――具体的にどのように調査・研究をしてきたのですか?

大塚 愛知県の大府市と東浦町にお住まいの40歳から79歳の約2300人を無作為に抽出し、食事や生活習慣について調査票に記入してもらったり、当センターでさまざまな心身の機能を測定・検査してもらったりします。

 1997年に第1次調査を開始して以後、死亡したり転居したりした人の分と新たに40歳になった人を対象地域から補充して約2300人を保つようにしながら第2次調査以降も進め、2012年の第7次調査まで行いました。今も対象者たちの追跡調査をしています。今後も、協力者たちにセンターでMRI検査を受けてもらうなどして、要介護度や認知機能などとの関連を調べていく予定です。

DHA濃度が高いと認知機能低下リスクは低く、逆もまた真

――研究結果についてお聞きします。まず、魚に多く含まれる脂肪酸とされるDHAと認知機能の関係性が示されたそうですね。

大塚 はい。60歳以上の方々のデータでは、血液中のDHA濃度が最も低い人たちに比べて、中程度あるいは高い人たちの10年後の認知機能低下リスクが、0.11倍あるいは0.17倍となりました。

 逆にいうと、DHAの濃度が低い人の認知機能低下リスクは高いということです。

血液中のDHA濃度と認知機能低下リスクの関係。認知機能はMMSE(Mini-Mental State Examination)という方法で判定(出典:大塚氏らの論文 “Serum docosahexaenoic and eicosapentaenoic acid and risk of cognitive decline over 10 years among elderly Japanese.” Eur J Clin Nutr. 2014;68(4):503-509. の情報を参考に作成)。
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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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