私たちは毎日さまざまなものを食べているが、その消化や吸収の役割を担うのが「消化管」だ。そして消化管に存在する「腸内細菌」の役割も重要だ。近年、科学技術の進歩により、腸内細菌の機能の解明が飛躍的に進んでいる。各国の人たちの腸内細菌を網羅的に解析する試験も行われ、日本人の長寿との関連性も示唆されている。消化管や腸内細菌と健康との関わりが一層注目されている。
消化管のある場所は体の“外”
健康なときは、いろいろなものをおいしく食べられるのに、体調がよくないときは、食欲がなかったり、おなかの調子が悪くなったりする。胃や腸など消化管のはたらきと健康は密接な関係にある。
消化管は口から肛門までの食べ物の通り道で、食道から胃、十二指腸、小腸、大腸と消化器がつながっており、全長は9mにもなる。食べ物はこの管を24~72時間かけて通り抜け、小腸で栄養素が吸収されたのち、最後は便になる。
この消化管は体の中を貫いている「1本の管」であり、よく「ちくわの穴」に例えられる。ちくわの穴が外部につながってるように、口と肛門も外につながっている。意外かもしれないが、消化管の中は体の“外”なのだ。
消化管には、食べ物とともに病原菌や有害物が絶えず入ってくる。体を覆う皮膚と同じように、消化管も外からの刺激や細菌の感染を防ぐ仕組みを持っている。中でも腸は「最大の免疫器官」と呼ばれるほど免疫機能が発達しており、腸壁では病原菌や有害物を素早く識別して、排除している。