長寿にも関連? 日本人の腸内環境は独特だった

メタゲノム解析に便移植も、注目される細菌たちの働き

2018.06.01(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 早稲田大学など共同研究グループは、このメタゲノム解析により、日本人の腸内細菌叢の特徴を解明した。研究グループは、日本人の腸内細菌叢の大規模な解析を行い、そのデータを欧米や中国など11カ国のデータと比較した。すると、国ごとに特徴的な細菌叢が形成されており、日本人の腸内細菌叢は、代謝機能などの生体に有益な機能を持つものが多く含まれていた。このことが、日本人の平均寿命の長さや肥満率の低さに関連するのではないかと示唆されている。

 また、日本人の約90%の腸内細菌叢には、海苔やワカメに含まれる食物繊維を分解する酵素の遺伝子が含まれているのに対し、他の国では15%以下だった。どうやら、海苔やワカメを消化できる細菌が日本人の腸に多く存在しているらしい。

 このような腸内細菌叢の特徴は、食生活や生活習慣を反映していると考えられるが、食事情報と腸内細菌叢のデータの関係は一致しなかった。腸内細菌叢の形成には、食事以外の要因も大きいらしい。

 消化管に定着した細菌叢を変えることは難しいが、食事によって有用な菌のはたらきを活発化させることはできそうだ。そのために多く摂取したいのは、腸内細菌が利用する食物繊維やオリゴ糖である。食物繊維は便通をよくするだけでなく、腸内細菌が食物繊維を分解してできる物質が肥満を抑えていることも明らかになっている。

 普段はあまり意識しないが、消化管の仕組みや腸内細菌の作用を理解することは健康への第一歩かもしれない。腸内細菌とは仲良く付き合っていきたいものだ。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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