高齢者こそ脂肪を摂るべき! 認知機能への効果とは

科学研究から見る、食と脳・こころ(前篇)

2018.06.08(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

――この結果をどう見ていますか?

大塚 妥当な関係であるといえます。牛乳や乳製品を多く摂っている人は、食生活が全般的によい傾向にあるともいえるのでしょう。

長寿のためには「脂肪は悪者」の考えを見直すべき

――脂肪分については、多くの人が避けるべき成分と考えている気がします。でも、高齢期になると、そうとも限らないということでしょうか?

大塚 そのとおりです。たしかに中年期までは、太っていたり、メタボリック症候群だったりすると、心臓病や脳血管障害のリスクが上がるので、メタボ検診(特定健康診査)を受けるなどして対策を講じるのは大切なことです。

 一方、高齢期の方々は、いわば生き抜いてきた人といえます。その段階まで達すると、食べ過ぎでなく、むしろ痩せ過ぎに注意することが大事になります。その“ギアチェンジ”を何歳のタイミングでするかは、今、研究者の間でもホットトピックになっています。

 かつては太っている高齢者も多くいましたが、2008年にメタボ検診が始まってから、「太ったらだめ」という意識が強くなりました。その結果、特に60〜70歳ぐらいの女性にいえることですが、昔と比べると痩せ気味になってきています。太らないことを心がけてきたため、「脂肪は悪者」と信じている人が根強くいます。でも、高齢期に長いこと自立して生活することを考えると、そうではないのです。

 認知機能を保ちながら、自立して長生きするということを考えれば、脂肪を含む食べものをたくさん摂って、痩せないようにするということは必要なことなのです。

後篇へ続く

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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