高齢者こそ脂肪を摂るべき! 認知機能への効果とは

科学研究から見る、食と脳・こころ(前篇)

2018.06.08(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

大塚 DHAやEPAは、分子に含まれる炭素が多い「長鎖脂肪酸」と呼ばれる脂肪酸ですが、他に炭素の数が8〜10個の「中鎖脂肪酸」や、7個以下の「短鎖脂肪酸」についても結果が出ています*

 高齢者では、いずれも摂取量が多い人ほど、認知機能は維持されやすいという結果になったのです。これまで、EPAやDHAなどについては認知機能低下リスクを抑えられるという効果がよく研究されてきましたが、中鎖や短鎖の脂肪酸でも同様のことがいえるということです。

 つまり、総じて脂肪の摂取が多い高齢者ほど、認知機能はよい傾向にあるということです。

* 炭素の数の定義は文献により異なる。

――中鎖脂肪酸は、どのような食品に多く含まれているのでしょうか?

大塚 さまざまな食品に含まれているので、特に多く含まれる食品というのはあまりありません。あえていうと、ココナッツです。

――短鎖脂肪酸については、いかがですか?

大塚 短鎖脂肪酸については、由来源の食品が定まってきました。牛乳、それにバター、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品です。ウシが食べた餌を消化するとき、短鎖脂肪酸を作るのです。

――ということは、牛乳や乳製品を多く摂取すると、認知機能低下リスクを抑えられるということでしょうか?

大塚 はい。特に60歳以上の女性にいえることですが、牛乳や乳製品をたくさん摂っている人ほど、認知機能は維持されていました。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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