中東地域のメルトダウンをもたらすトランプ外交

追い詰められるイラン、反撃の矛先がサウジに?

2018.01.06(土) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52017
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一層大きくなるシェールオイルの影響力

 まず世界最大の原油需要国である米国では、サブプライム自動車ローンの延滞率がますます上昇している(12月22日付ブルームバーグ)。特にノンバンクによるサブプライム自動車ローンの延滞率は2009年以降で最も高い水準となっており、米国における新車販売に今後急ブレーキがかかりそうだ(昨年の新車販売は8年ぶりに減少した)。

 生産面ではシェールオイルの影響力が一層大きくなる見通しである(12月22日付ロイター)。石油大手が、高コストで長期間にわたるプロジェクトを抑制し、低コストで短期間に増産が可能なシェールオイルにシフトする姿勢を鮮明にしているからだ。

 昨年下期から米国の原油在庫は順調に減少しているが、米国産原油の輸出拡大に起因する要素が大きい。米エネルギー省は12月28日、「昨年10~12月期の米国産原油の輸出量は日量平均約150万バレルとなり、前年同期の約3倍になった」と発表した。米国は2015年12月に原油輸出を解禁したが、昨年9月以降WTIと北海ブレントとの価格差が急拡大したことから、割安となった米国産原油の輸出が急増したのである。米国からの原油輸出量が前年に比べて1日当たり約100万バレル増加すれば、米国内の原油在庫量は1週間で合計約700万バレル減少する計算になる。米国の原油在庫はこのところ毎週のように400~500万バレルの規模で減少しているが、米国産原油の過剰供給分が他国に回っているだけで原油市場の需給が均衡に向かっているとは言えない。このことを市場関係者も今後織り込んでいくことになるだろう。

中国に立ち塞がる景気減速と貿易制裁

 次に昨年世界最大の原油輸入国となった中国である。中国国家統計局は12月29日、「9カ所の国家石油備蓄基地が完成した(備蓄量は2億7500万バレル)」と発表した。昨年後半からの原油高で、国家石油備蓄の積み増しのペースは鈍化したようである(12月31日付OILPRICE)。中国国内の原油生産量は低油価のあおりを受けて2年続けて減少したが、原油価格が1バレル=60ドル台に達したことで再び増産態勢に入る可能性がある。今年の原油輸入量の伸びが鈍化するのは間違いないだろう。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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