「ビジョン2030」を自ら台無しにするサウジ皇太子

強権的な汚職摘発が内戦勃発の予兆か

2017.11.10(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51564
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サウジの汚職対策委員会、王子や大臣ら拘束 反皇太子派を封じ込めか

サウジアラビアの首都リヤドで開かれた投資会議に出席したムハンマド・ビン・サルマン皇太子(2017年10月24日撮影、資料写真)。(c)AFP/FAYEZ NURELDINE〔AFPBB News

11月6日の米WTI原油先物価格は前週末に比べて1.71ドル高の1バレル=57.35ドルと2年4カ月ぶりの高値となった。

 サウジアラビアのムハンマド皇太子が「協調減産の期間を延長する」と改めて言及したことや、先週の米国の石油掘削装置(リグ)稼働数が今年最大の減少となった(8基減)こと、さらに「ベネズエラの国営石油会社PDVSAがデフォルトを起こし最大日量60万バレルの原油生産が失われるのではないか」との憶測(11月4日付OILPRICE)などで、市場には強気モードが広がっていた。

 加えて、週末にサウジアラビアでムハンマド皇太子主導により多数の王族や閣僚が汚職容疑などで拘束されたことが明らかになると、サウジアラビアの「政情不安リスク」を材料となり、さらに買いが入った(その後、中国の10月の原油輸入量は13カ月ぶりの低水準となり、米国の原油在庫が増加したなどの情報が伝わり、原油価格は1バレル=56ドル台に下落した)。

王族、政府高官、企業家を一網打尽

 ここで週末のサウジアラビアで何が発生したかをおさらいしてみたい。

 11月4日夜、サウジアラビアで「汚職容疑で王族11名、現職閣僚を含む政府高官や起業家38名が拘束された」と報道された。

 報道の数時間前に発出された勅令に基づき、設立されたばかりの「汚職対策最高委員会」が次々と要人たちを逮捕した(汚職対策最高委員会はムハンマド皇太子が議長を務め、捜査や逮捕状の発行、渡航禁止や資産の開示要求・凍結の指示を行えるなど強大な権限を有する)。誰がいかなる目的で逮捕されたかについては、発表されていない(「不満が高まる軍のクーデター勃発を未然に防止するためだった」との憶測がある(11月7日付ZeroHedge))。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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