中東地域のメルトダウンをもたらすトランプ外交

追い詰められるイラン、反撃の矛先がサウジに?

2018.01.06(土) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52017
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 イラン国民は1979年の革命に伴う混乱、1980年代の8年に及ぶイラクとの悲惨な戦争、そして現在も続く米国による制裁と何十年にもわたって苦境に耐えてきた。だが、「国がそれに報いていない」というのが多くの国民の実感だろう。ロウハニ大統領は2013年の就任以来、核合意を成立させ国際社会の制裁を解除させるなど景気のてこ入れに取り組んでいるが、その進捗は芳しくない。

 デモ参加者の一部が暴徒化したのは「海外からの介入があったからだ」との指摘もある。具体的にはイスラエルと米国である。イスラエルにとって、イラン(革命防衛隊)が中東各地に供給し続けるミサイルは頭の痛い問題だ。イランからのミサイル供給をなんとしてでも阻止したいイスラエルや米国にしてみれば、イラン国内の不満の高まりを利用しない手はない。

 米ニュースサイト「アクシオス」は12月28日、「米国とイスラエルの政府高官が12月12日にイランによる核兵器開発の再開を阻止するための秘密工作を検討するなどの『共同戦略作業計画』に合意した」と報じた。米国とイスラエルは複数の作業部会を設置し、イランの弾道ミサイル開発や同国が支援するレバノンのヒズボラやパレスチナ自治区のハマスに対抗する方策を協議するとされている。米国情報機関が昨年末にイスラエル情報機関によるイラン革命防衛隊トップの暗殺計画を承認したという情報もある(1月1日付ZeroHedge)。

建国以来最大の王族内対立が起きているサウジ

 だがイランも防戦ばかりしているわけではない。米国の同盟国であるサウジアラビアなどで争乱を企てるのは自然の流れではないだろうか。いわば「目には目を」というわけだ。

 サウジアラビアではこれまで国民の財政負担を求める税の制度はなかったが、今年1月から付加価値税(5%)を導入した。燃料価格もさらに引き上げられ、公共事業が大幅に削減されて失業者は増加するなど、ムハンマド皇太子が主導する経済改革は国民に痛みを伴うものばかりである。国民への政治への参加を求める声が高まるのは当然といえよう。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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