中東地域のメルトダウンをもたらすトランプ外交

追い詰められるイラン、反撃の矛先がサウジに?

2018.01.06(土) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52017
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 サウジアラビア政府は不満を和らげるために2018年の予算では最大規模の支出を見込んでいる。頼みにしているのは、汚職容疑で拘束している王族の個人財産の没収である。だが資産総額180億ドルとされる著名投資家のアルワリード王子からの資産没収は難航している(12月22日付ウォール・ストリート・ジャーナル)。当局は釈放の条件として少なくとも60億ドルを要求しているが、アルワリード王子は「要求に応じれば、罪を認めるばかりか25年かけて築いた金融帝国を壊すことになる」と話しているという。

 汚職騒動がいまだ沈静化しないなか、ムハンマド皇太子への譲位を切望するサルマン国王は年明け早々に訪米すると言われている。だが、サウジアラビアの巨額の米国製武器購入の見返りにトランプ大統領がムハンマド皇太子の国王就任を認めたとしても、国内の反発は高まるばかりで、その譲位はおぼつかないだろう。

 このようにサウジアラビアは建国以来最大の王族内の対立が起きている状況であり、今後何が起きるか分からない。特に注目すべきは、サウジアラビアで長年冷遇されてきた少数派シーア派住民の動向である。少数派シーア派が多数を占める東部地域では、これまでも小規模なデモが散発的に生じていた。同国の大油田が存在する当該地域で今後大規模な騒乱が起きないという保証はない。

 中間選挙が行われる今年のトランプ外交の重点は、ユダヤマネーが望む「イラン潰し」になるのではないかと筆者は考えている。国内の政治的関心でのみ動くトランプ外交によって、中東地域はメルトダウン状態に陥ってしまうのではないだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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