中東地域のメルトダウンをもたらすトランプ外交

追い詰められるイラン、反撃の矛先がサウジに?

2018.01.06(土) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52017
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 需要面では、景気減速が予測される中で当局が金融引き締めの方針を明確に打ち出していることが心配である。中国人民銀行幹部は昨年末に「米デトロイト市の破綻のようなケースが起きれば、『地方政府に暗黙の保証が与えられている』という投資家の見方を改めることができる」との認識を示した(12月25日付ブルームバーグ)。なかなか解消しない過剰債務問題に業を煮やした末の発言だろうが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」。ハードランディングの引き金になるとの懸念もある。

 さらに心配なのは、米中貿易摩擦の悪化である。トランプ大統領はツイッターで「中国が北朝鮮への石油輸出を許していることに失望した」と中国への不満を露わにしている。今年秋の中間選挙を前に、中国に対して厳しい貿易制裁を課すとの観測が出始めている。

 ユーラシア・グループが年初に発表した「今年の10大リスク」は、「2008年の金融危機に匹敵する予想外の大きな危機が今年起こる可能性がある」との見方を示している。米中貿易摩擦がエスカレートすれば、為替市場をはじめ世界の金融市場が動揺することは必至である。

原油価格を押し上げたイランの政情不安

 世界経済にとっての不安要因は他にもある。最大の要因は、中東地域の地政学リスクが高まることだ。

 実際に年初来の原油価格は、OPEC第3位のイラン(生産量は日量約380万バレル)の政情不安を材料に上昇している(現時点で同国の原油生産や輸出に影響は出ていないとされている)。

 イランで12月28日に始まった市民らによる反政府デモは沈静化の兆しが見えない(4日に入り「デモが沈静化しつつある」との報道が出始めている)。1月3日までに40を超す都市に広がり、治安部隊との衝突でデモ参加者20人以上が死亡、数百人が拘束された。一部では最高指導者ハメネイ氏への批判が出始めている。

 事の発端は、イラン政府が12月に発表した今年度予算案の中で福祉費の削減と燃料価格の引き上げが盛り込まれていることに市民らが反発したことだとされている(冷遇されている少数派スンニ派地域で暴徒化が始まったとの情報がある)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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