2018年の原油動向、鍵を握るのはサウジアラビア

戦後最大の石油危機勃発のリスクに備えよ

2017.12.22(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51917
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 ムハンマド皇太子は国民からの人気の高さを武器に中央突破を図ろうとしているようだが、ムハンマド皇太子もけっして清廉潔白ではない。同氏は今年11月に約4.5億ドルでレオナルド・ダヴィンチ作の絵画を購入し(12月7日付ウォール・ストリート・ジャーナル)、過去にも高級ヨット(5億ドル)やパリ郊外の豪邸(3億ドル)を秘密裏に手に入れている(12月17日付ニューヨークタイムズ)。その資金はどこから出ているのだろうか(両紙の情報源は米情報機関のようである)。

 ムハンマド皇太子の11月の「宮廷クーデター」が行政組織にもたらした混乱により、ビジョン2030の柱である3000億ドル規模の民営計画の円滑な実施が困難となり、海外の投資家も参画に「二の足」を踏む傾向が鮮明になりつつある。

 サウジアラビアでは来年1月から付加価値税(5%)が導入され国内のガソリン価格が90%の値上げになるなど、国民の痛みは高まるばかりである。今年の経済成長率は8年ぶりのマイナスになった。サウジアラビア政府は改革で打撃を受ける中低所得者に対する現金支給を含む総額190億ドルの経済刺激策を決定したが、汚職資金の回収を財源として当てにしているふしがある。しかしチュニジアやエジプトなどの前例が示すとおり、汚職資金の回収は容易ではなく、財政状況がさらに悪化する可能性が高い(サウジアラビア政府は財政健全化の時期を2020年から3年先送りすることを決定した)。

米・サウジ蜜月関係の「終わりの始まり」

 トランプ大統領は12月6日、「エルサレムをイスラエルの首都と認める」旨の宣言を行い、世界で混乱が広がった。この宣言で最も大きな打撃を受けたのは、米国との親密な関係を梃子に国の改革を進めてきたムハンマド皇太子ではないか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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