7月31日の米WTI原油先物価格は6日続伸し、5月30日以来約2カ月ぶりに1バレル=50ドルを上回った。
市場関係者の間で、原油価格に対する悲観的な見方が後退している(7月31日付ブルームバーグ)ことがその要因だ。契機になったのは、7月24日に開催された主要産油国の「減産遵守監視委員会(JMMC)」の開催だった。
JMMCではナイジェリアとリビアの増産が認められるネガティブな決定もあったが、市場関係者が反応したのはサウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相の発言である。ファリハ氏は「サウジアラビアの8月の原油輸出を日量660万バレルと前年を約100万バレル下回る水準に減少させる」との見通しを示し、「必要があれば協調減産の期限を2018年3月からさらに延長する」ことを表明した。このことが原油価格を反転させる大きな要因となった。
OPECは、7月の原油生産量は前月に比べて日量14.5万バレル増となっている(7月21日付ロイター)ことから、9月に開催予定だったJMMCを8月7日に前倒しして(UAEで実施)、減産目標の遵守率が低い加盟国を招いて引き締めを図ろうとしている。
ファリハ氏はOPECの減産遵守率が低下していることに非常に神経質だったと伝えられており(7月26日付OILPRICE)、同氏の剣幕に押されてアラブ首長国連邦(UAE)やクウェートが相次ぎ原油輸出量の削減を表明している。
米国でも「買い」材料が相次いだ。原油在庫は今年最大規模の減少となり、1月上旬の水準にまで落ち込んだ。また、シェールオイル開発大手がアナダルコ・ペトロリムを皮切りに今後設備投資を縮小する方針を明らかにしたことから、「シェールブームにブレーキがかかった」との見方が広がった。