原油市場で影響力を増す「需要」と「地政学」要因

原油需要を支えてきた中国経済がいよいよ危険水域に

2017.08.18(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50816
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中国・北京の道路。中国政府の環境対策によって、今後、ガソリン自動車の販売増加に歯止めがかかる可能性がある(資料写真)

8月14日の米WTI原油先物価格は約5週間ぶりの大幅安となった(先週末比1バレル=1.23ドル安の同47.59ドル)。その後原油在庫が大幅に減少したものの、ガソリン在庫が予想外に増加したことなどが嫌気され、原油価格は1バレル=46ドル台後半まで下落した。

 7月中旬から原油価格は1バレル=48ドルから50ドルという狭いレンジで推移していたが、取引される材料はもっぱら「供給」サイドの情報だった。最も注目を集めていたのはOPECとシェールオイルの生産量である。

 OPECは8月10日、「7月の加盟14カ国の原油生産量は前月に比べて17万バレル強増加し、日量平均3287万バレルだった」と発表した。生産量が増加した主な要因は、減産措置の適用除外となっているリビアの生産量(15万バレル増の日量100万バレル)とナイジェリアの生産量(3万バレル増の175万バレル)がそれぞれ増加したことである。これまで率先して減産してきたサウジアラビアの生産量も、夏場の国内消費(冷房需要など)の増加に対応するため割当量をやや上回った(日量1006万バレル、減産目標は1005.8万バレル)。

 次にシェールオイルだが、米エネルギー省は14日、「9月のシェールオイルの生産量は前月比10.5万バレル増の569万バレルに増加する」との見通しを示した。このところ石油掘削装置(リグ)稼働数の増勢が鈍化し、シェール企業大手は軒並み設備投資計画を削減している。しかしその影響が現れるまでには時間がかかりそうである。

「OPECの減産」と「シェールオイルの増産」の綱引きがデッドロック状態に陥ってしまったことから、世界の原油の過剰在庫の解消はなかなか進まない。6月のOECD諸国の原油在庫は30億バレル台であり、過去5年平均を2.5億バレル上回っている。市場からは「ファンダメンタルズがはっきりしないため様子見となっている」との声も聞こえてきていた(8月14日付ブルームバーグ)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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