原油価格急落の原因を作ったサウジアラビア副皇太子

協調減産の延長でもなくならない下押し圧力、価格上昇に望みはあるか

2017.05.12(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49973
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「二匹目のドジョウ」はいるのか

 最後に、主要産油国の動向から今後の原油の値動きを占ってみたい。

 5月25日のOPEC総会では減産延長が決定されるとみられる。しかし、合意の適用除外となっているリビアの原油生産が回復している(夏までに日量30万バレル増の予測)ことから、削減幅(日量約180万バレル)を拡大しない限り、原油価格は上昇しない可能性が高い。また、仮に減産が延長されることになっても、ロシアでは国内の石油業界が通常通り年後半に増産を計画しているため、調整が難航することが危惧されている。

 さらに来年以降、イラク(OPEC第2位)やイラン(同3位)は増産を計画しており、サウジアラビア(同1位)も原油の輸出能力の拡充を検討しているため、長期戦になれば各加盟国の足並みが乱れ、それを材料に市場から売り浴びせを受けることになるだろう。

 短期勝負で原油価格を上昇させるためには「世界の市場から日量200万バレルの原油の供給を停止することが必要」だ(5月9日付「ZeroHedge」)。しかし、尋常の手段でこれを達成することはできい。

 唯一の実現可能性は、国内が大混乱に陥っているベネズエラの国営石油会社(PDVSA)がデフォルトを起こすことだろう。

 ベネズエラはOPEC設立当初からの加盟国で、4月の原油生産量は日量平均198万バレルである。しかし、資金繰りは日増しに悪化している。4月には、ロシア国営海運会社が運搬料の未払いを理由にベネズエラの原油タンカーを差し押さえる事態が発生した。

 昨年4月のドーハ合意が失敗しても原油価格が下落せずに上昇したのは、5月上旬にカナダ西部の山火事で突然の供給途絶事案が発生したからだった(オイルサンドの生産が日量100万バレル減少)。「二匹目のドジョウ」は果たしているのだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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