原油価格急落の原因を作ったサウジアラビア副皇太子

協調減産の延長でもなくならない下押し圧力、価格上昇に望みはあるか

2017.05.12(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49973
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米国のジェームズ・マティス国防長官(左)と会談したサウジアラビアのムハンマド副皇太子(2017年3月16日、出所:Wikipedia)

 5月8日の米WTI原油先物価格は1バレル=46ドル台と、価格が急落した先週末の水準とほぼ横ばいだった。

 OPECなど主要産油国が相場下支えのための「口先介入」を強めた(5月8日付「日本経済新聞」)にもかかわらず、である。

減産効果が表れない原油在庫

 口火を切って“介入”したのはサウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相だった。同相はマレーシアで開催された業界イベントで「OPECが6月末までとした協調減産は来年以降も延長されると確信している」と述べた。これを受けてロシア政府は、「協調減産を来年にかけても継続する」というサウジアラビアの提案に支持を表明した。

 市場はこの動きについて好感しているものの、「実際の在庫データに減産の効果が表れない限り楽観することはできない」として慎重な姿勢を崩していない。「来年末まで原油生産を抑制し続ける必要がある」とする専門家もいる(5月2日付「ブルームバーグ」)。

 原油在庫の中で関係者が特に注目するのは米国の在庫データだ。過去最高水準に積み上がった原油在庫はこのところ減少し始めているが、ドライブシーズンを控えて大幅減少するとされていたガソリン在庫が3週連続で増加(5月発表の統計では微減)。「過剰分は上流から下流に移動しただけではないか」との疑念が高まっている。また米国では、年初来の新車販売台数の減少に加え3月の個人消費支出も前月比マイナスになっており、今後ガソリン需要が回復する見込みは低い。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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