米国のシリア攻撃が原油価格に与えた影響とは

地政学的リスクの高まりで減産延長に暗雲

2017.04.14(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49711
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 サウジアラビアの今年1月から3月にかけての減産遵守率は100%を超えている。それに対し、ロシアは約束した減産目標(日量30万バレル)の半分程度しか実施していない。ロシアのエネルギー相、アレクサンドル・ノヴァク氏は「現行の減産期間の終了までに減産目標を達成する」と繰り返しているが、その実現可能性には疑問符が付き始めている。

 元サウジアラビア・エネルギー産業鉱物資源相のアリ・ヌアイミ氏が自伝の中で「OPECが減産しても、ロシアがその分を増産してしまう」と過去の苦い経験を吐露しているように、サウジアラビアのロシアに対する警戒感は根強い。その疑心暗鬼が日に日に高まっていてもなんら不思議ではない。

 サウジアラビアのエネルギー産業鉱物資源相、ハリド・ファリハ氏は3月末の米国での講演で「サウジアラビアはただ乗りを許さない」と語った。その警告は、シェール企業とともにロシアにも向けられているとみて間違いないだろう。

欧州市場に注目し始めたサウジ

 欧州市場におけるサウジアラビアとロシアのつばぜり合いも激しくなりそうである。

 サウジアラビアは近年中国・インド・日本の市場でのロシアの原油売り込みに防戦一方だったが、このところ欧州への自国産原油の売り込みを強化し始めている(4月6日付OILPRICE)。2017年7月から欧州向け原油価格の体系を改めるなどして欧州の需要開拓に努める意向だ。

 これまで欧州市場はロシア産原油の独壇場であった。欧州の原油需要量は世界の約14%(日量約1350万バレル)を占めるが、ロシアは長年にわたり最大の原油供給者だった(2016年のシェアは約32%)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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