米国のシリア攻撃が原油価格に与えた影響とは

地政学的リスクの高まりで減産延長に暗雲

2017.04.14(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49711
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 海底油田の開発が活発化しているのはブラジル沖だけではない。メキシコ湾沖でも油田開発が活発化している。

 その理由は生産コストの大幅な低下である。技術革新により海底油田の1バレル当たりの生産コストが50ドル以下、場合によって40ドルと低下しており、生産コストがシェールオイル並みになっているとの評価も出始めている(4月3日付OILPRICE)。

 こうした海底油田の開発が活発化により、米国への原油の流れは拡大するばかりである。

世界の原油市場は構造的に供給過剰

 OPECやロシアが減産を続けたとしても、世界、特に米国市場を巡る原油の状況は以上のように構造的に供給過剰である。そのため、原油在庫が大幅に減少するとは思えない。原油市場には今後長期間にわたってデフレ圧力が続くとすれば、原油価格は長期にわたって大幅上昇することはないだろう。

 原油価格に関してはいまだ強気な見通しが主流であるが、「4月に55ドルを明確に超えるような状況にならなければ、今年末に向けて35ドルまで下落するシナリオが有力になる」との見方も出始めている(エモリキャピタルマネジメントの江守哲氏、4月4日付東洋経済オンライン)。

 主要産油国の協調減産監視委員会は4月中に開催される予定だが、減産の延長とともに減産幅の拡大に関する合意が成立するだろうか。

 この微妙な時期に米国が中東地域に落とした「一滴」が、世界の原油市場に「売り」圧力の洪水をもたらさないことを祈るばかりである。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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