2014年、ロシアのエネルギー政策を読み解く

中国の拡張主義を警戒するプーチン大統領、日本との関係強化の可能性も

2013.12.31(火) 杉浦 敏広
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 しかし、プーチン首相にとって、前回の大統領就任時とは時代背景が異なっていた。エリツィン初代大統領は1999年の大晦日、国民に謝罪して大統領職を突然辞任し、後任としてプーチン首相を大統領代行に指名したが、今回はプーチン首相自らが大統領選挙に立候補宣言した。

 大統領選挙は2012年3月4日に実施された。プーチン候補は63.6%の得票率をもって当選、大統領には同年5月7日就任した。ちなみに、2位のジュガーノフ共産党候補は得票率わずか17.2%であった。

プーチン首相最後の議会演説

 プーチン首相はロシア議会にて2012年4月11日、首相在職4年間の総括とも言える演説を行った。5月7日大統領に就任するので、首相としてはこれが最後の議会演説となった。発言要旨は下記5点である。

(1)人口問題解決
(2)東シベリア・極東の重要性を強調
(3)新規雇用の増大・中産階級の形成
(4)経済基盤の強化
(5)CIS諸国の再統合強化(関税同盟・経済統合)

 ここで特筆すべきは、(2)の東シベリア・極東の重要性を強調した点であるが、これには伏線がある。

 プーチン首相の意を受けて、当時のショイグ非常事態相(モスクワ州知事を経て現ロシア国防相)が2012年初頭、東シベリア・極東開発公社設立構想を発表した。当初、この開発公社設立構想はロシア国内でも懐疑的に見られていたが、プーチン新大統領が本気であることがその後判明した。

 ショイグ非常事態相の東シベリア・極東開発公社設立構想に続き、経済発展省は同年4月20日、東シベリア・極東の16連邦構成主体(全国土面積の6割以上)に特別法を適用し、天然資源開発促進を目指す「東シベリア・極東開発法案」を検討していることを発表。

 さらに、特別法として「ロシア連邦国家資産変更法案」を構想中であることも公表した。ちなみに、同構想の趣旨は16連邦構成主体の資産は新たに設立される国営会社に統合して、大統領直属の国営会社とする計画であった。

プーチン大統領の第1回年次教書

 プーチン大統領は次期6年間(2012~2018年)において、どのような方向性を目指すのか?

 それを占うカギは第1期(2000~2004年)・第2期(2004~2008年)プーチン政権の方向性にあり、第3期プーチン政権は、基本的には従来の政策を踏襲するものと予測する。

 では、過去(第1期・第2期政権)の方向性は何かと言えば、それはプーチン大統領第1回大統領年次教書に明示されている。第1回年次教書全体に流れている基調は強いロシアの実現という、従来プーチン氏が繰り返し主張してきた概念である。

 プーチン大統領は「強い国家という表現が気にいらなければ、効率的国家と呼びたい」とも述べ、中央集権的法治国家を指向した。

 では、なぜ強い国家が必要かと言えば、強い国家を実現しないと国が分裂して、国民は不幸になるという認識であった。

 すなわち、プーチン年次教書の底流には、「ロシアは国家としての統一性が破綻し、国が分裂の危機にさらされている」という認識が流れており、国家を分裂の危機に陥れた過去10年間の政治・経済を厳しく批判。エリツィン前大統領の時代を断罪した。

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Toshihiro Sugiura (公財)環日本海経済研究所共同研究員

1973年3月 大阪外国語大学ドイツ語学科卒

1973年4月 伊藤忠商事入社。 輸出鉄鋼部輸出鋼管課配属。ソ連邦向け大径鋼管輸出業務担当。 海外ロシア語研修受講後、モスクワ・サハリン・バクー駐在。 ソデコ(サハリン石油ガス開発)出向、サハリン事務所計7年間勤務。伊藤忠商事/アゼルバイジャン共和国バクー事務所6年8カ月勤務。

2011年4月 バクーより帰任。

2011年5月 (財)日本エネルギー経済研究所出向、研究主幹。2015年3月伊藤忠商事退職。現在、(公財)環日本海経済研究所共同研究員
 

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