2014年、ロシアのエネルギー政策を読み解く

中国の拡張主義を警戒するプーチン大統領、日本との関係強化の可能性も

2013.12.31(火) 杉浦 敏広
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 では、強いロシアを実現するために、「従来および現在、何が問題なのか。今後、何をなすべきか」。プーチン新大統領は2000年7月の第1回年次教書にて、当時のロシアの問題点として下記4点に言及した。

(1)人口減少。国民の高齢化(少子化)
(2)露経済の脆弱性
(3)国際関係に於ける露の戦略的地位の低下
(4)国家分裂の危機。国家の統一性の破綻。露連邦を構成する民族統一の危機

 プーチン大統領はこの強い国家を実現するための手段として、中央集権的法治国家を目指していると明言した。プーチン大統領の第1回教書内容は、古い時代が終わり、プーチン新時代の幕開けを告げる力強い施政方針演説となった。

プーチン大統領第3期政権、多難な船出

 では、プーチン第3期政権はどのような方向性を目指すのか?

 ロシア大統領の直轄権限は外交・軍事・治安・情報部門にて、盤石の態勢を目指す。国内では、東シベリア・極東開発を推進する。ロシア極東発展省を新設し、イシャエフ極東連邦管区大統領全権代表を同相大臣に任命した。

 外交ではまず主要CIS諸国の結束を強化、その上で対欧米外交を展開するだろう。大国たる国境を接する隣国中国とは、関係悪化しないように配慮する。初の外遊先はG8サミットの訪米になると見られていたが、これはキャンセルした。

 プーチン大統領は2013年6月初旬北京開催の上海協力機構に出席したが、当初、その途上カザフスタン訪問予定となっていた。すなわち、カザフが初の外遊先予定であったが、結局、5月31日のベラルーシ訪問が最初の外遊先となった。

 では今後、プーチン新大統領の思惑通りに事は進むのか?

 プーチン政権には、汚職撲滅・年金改革・投資環境改善・軍近代化、その他諸々の問題が山積している。プーチン大統領就任直後には、最新鋭ジェット旅客機「SSJ-100」墜落事故が発生し、多難な船出を想起させた。

 第1期・第2期プーチン政権のキーワードは、上記の通り「強いロシア」であった。プーチン候補は今回の選挙綱領でも「強いロシア」を強調しているので、第3期プーチン政権のキーワードも同じく「強いロシア」となろう。

露東シベリア・極東発展構想の現状と背景

 2012年9月8-9日、APEC(アジア太平洋経済協力)-ウラジオストク首脳会合が開催された。国家の威信高揚を懸けたロシア極東APECだが、プーチン新政権はなぜ、東シベリア・極東開発にこだわるのか?

 西シベリアの原油・天然ガス生産は既に最盛期を過ぎており、今後の天然資源開発は北極圏ヤマール半島や東シベリア・極東の新規鉱区の探鉱・開発作業に移行することになろう。

 東シベリア・極東地域ではソ連邦の時代から様々な新規鉱区探鉱構想やP/L(パイプライン)構想が存在したが、実行されなかった。ソ連邦の課題は生産量をいかに増やすかということのみで、マーケティングの考えがなかった。

 民間企業にとっては需要があるのかどうかが最も重要だが、ソ連邦には(また現在のロシア連邦にも)、そのような視点に欠けていたと言える。

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Toshihiro Sugiura (公財)環日本海経済研究所共同研究員

1973年3月 大阪外国語大学ドイツ語学科卒

1973年4月 伊藤忠商事入社。 輸出鉄鋼部輸出鋼管課配属。ソ連邦向け大径鋼管輸出業務担当。 海外ロシア語研修受講後、モスクワ・サハリン・バクー駐在。 ソデコ(サハリン石油ガス開発)出向、サハリン事務所計7年間勤務。伊藤忠商事/アゼルバイジャン共和国バクー事務所6年8カ月勤務。

2011年4月 バクーより帰任。

2011年5月 (財)日本エネルギー経済研究所出向、研究主幹。2015年3月伊藤忠商事退職。現在、(公財)環日本海経済研究所共同研究員
 

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ロシアは日本の隣国にもかかわらず最も遠い国の1つでもあった。しかし両国間の経済関係が密接になる中で、ロシアを正しく知ることは不可避である。このコラムでは日本を代表するロシアの専門家が様々な角度からロシアと周辺国を鋭く斬る。

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