2014年、ロシアのエネルギー政策を読み解く

中国の拡張主義を警戒するプーチン大統領、日本との関係強化の可能性も

2013.12.31(火) 杉浦 敏広
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(1)ロスネフチ/サハリン島縦断S-2天然ガスP/Lの使用申請:

 ロシア最大の国営石油会社ロスネフチはサハリン島に新規LNG工場建設構想を練っており、天然ガスP/L建設が必要になっている。

 2013年12月9日付ロシア日刊紙ヴェドモスチは、ロスネフチのイーゴリ・セーチン社長は露エネルギー省に対し、サハリン島の既存S-2天然ガスP/Lの使用を申請、エネルギー省は検討することになったと報じている。

 ただし、12月26日付同紙は、「ガスプロムはP/L輸送能力が既に手一杯のため、ロスネフチの提案を断った」と伝えている。

(2)プーチン大統領/年次教書発表:

 プーチン大統領は昨年に続き、今年もロシア憲法記念日の12月12日に大統領年次教書を発表した。1991年末に旧ソ連邦が解体され、新生ロシア連邦が誕生してから、今年の大統領年次教書はちょうど20回目の年次教書となり、プーチン氏にとっては記念すべき10回目の大統領年次教書発表となった。

 ちなみに、あと10回の年次教書発表の内訳は、エリツィン元大統領が6回、メドベージェフ前大統領が4回である。

 今年の年次教書は憲法改正案から始まり、地方自治体改革・人口動静・移民・経済問題・軍改革など多岐にわたるが、本稿ではシベリア・極東に関するプーチン大統領発言に言及したい。

 プーチン大統領は「21世紀の国家的プライオリティー」として、シベリアと極東の発展を挙げたので、この部分を下記訳出する:

 「再度強調したい。国家と私企業の資源は、発展と国家目標の実現に向けられるべきである。例えば、シベリアと極東の発展である。これは21世紀全期間を通じて、我々の国家的プライオリティーである。我々が解決すべき課題は、その規模に於いて前例のないものである。これは即ち、我々の対策基準もまた、従来の既成概念からはかけ離れたものになることを意味する」

 このあと優遇税に言及して、「来年2014年7月1日までに東シベリアと極東に経済特区を設立せよ」と露政府に命じた。

 ではなぜ、プーチン大統領は昨年に続き、今年も東シベリア・極東開発に言及したのか?

 大胆に推測する。昨年2012年の年次教書では、「21世紀におけるロシア発展のベクトルは東方に向かう」と大見得を切ったが、実態としてはほとんど何も進展していないことに業を煮やしての発言ではないか。

 極東開発公社設立構想は頓挫。今年末迄にロシア極東から中国向けP/Lによるガス価格に合意するはずであったが、依然として未合意。

 ガスプロムのミーレル社長は2014年2月までに合意予定と述べているが、ガス価格が合意に達しなければ極東開発もあり得ない。このような現状を打破すべく発破をかけたのが、上記のプーチン大統領発言ではないかと、筆者は想像する。

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Toshihiro Sugiura (公財)環日本海経済研究所共同研究員

1973年3月 大阪外国語大学ドイツ語学科卒

1973年4月 伊藤忠商事入社。 輸出鉄鋼部輸出鋼管課配属。ソ連邦向け大径鋼管輸出業務担当。 海外ロシア語研修受講後、モスクワ・サハリン・バクー駐在。 ソデコ(サハリン石油ガス開発)出向、サハリン事務所計7年間勤務。伊藤忠商事/アゼルバイジャン共和国バクー事務所6年8カ月勤務。

2011年4月 バクーより帰任。

2011年5月 (財)日本エネルギー経済研究所出向、研究主幹。2015年3月伊藤忠商事退職。現在、(公財)環日本海経済研究所共同研究員
 

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ロシアは日本の隣国にもかかわらず最も遠い国の1つでもあった。しかし両国間の経済関係が密接になる中で、ロシアを正しく知ることは不可避である。このコラムでは日本を代表するロシアの専門家が様々な角度からロシアと周辺国を鋭く斬る。

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