2014年、ロシアのエネルギー政策を読み解く

中国の拡張主義を警戒するプーチン大統領、日本との関係強化の可能性も

2013.12.31(火) 杉浦 敏広
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(6)プーチン大統領/ホドルコフスキー氏を恩赦・釈放:

 プーチン大統領は2013年12月19日、元ユーコス社長のホドルコフスキー氏に恩赦を認める意向を発表。ホドルコフスキー氏は翌20日釈放され、ドイツに出国した。

 俗に「ユーコス事件」と呼ばれているが、当時ロシア最大の石油会社ユーコスのホドルコフスキー社長は2003年10月25日、給油で立ち寄ったシベリアのノボシビルスク空港で拘束された。

 ホドルコフスキー社長が拘束された理由は、当時のプーチン政権に反旗を翻したためと言われているが、プーチン政権には献金していたが、野党共産党にも献金したため、拘束されたのが真相と思われる。

 ただし、今回の恩赦・釈放には釈然としない点が1つある。それは、ホドルコフスキー氏は罪を認めておらず、罪状はすべて否認している。恩赦とは罪を認めた者に対する特赦ゆえ、罪を認めていない者に恩赦はあり得ない。

 この点、筆者は不思議だなと思っていたら、案の定、ホドルコフスキー氏は「恩赦は受けたが、罪は認めていない」とのコメントを発表。一方、大統領府は「彼は罪を認め、恩赦を申請した」と発表した。

 この点、両者の発言は食い違うが、プーチン大統領にとっては2014年2月のソチ五輪を控え、人権に配慮している旨を西側にアピールする狙いがあったと言えよう。

 また、1980年のモスクワ五輪を前年末のソ連軍のアフガン侵攻を理由に、西側が五輪参加をボイコットしたこともトラウマになっていたことであろう。

2014年初頭における露極東エネルギー動向の注目点

 今後の露極東エネルギー動向最大の注目点は、極東サハ共和国チャヤンダ・ガス田から中国向け天然ガスP/L価格が合意に達するかどうかである。ガスプロムと中国CNPCは既に約10年の長きにわたり、ロシアから中国向け天然ガスP/L供給交渉を継続してきたが、依然として契約調印には至っていない。

 ガスプロムのミーレル社長は2013年末までに合意を目指すと言ってきたが、結局、年内合意に至らず、現在では2014年2月までの合意を目指すと発言している。

 では、何が問題なのか?

 マスコミでは、ガス価格以外はすべての条件で合意していると報じられているが、実際にはほかにも合意していない点もあり、問題点は天然ガス価格問題以外、天然ガス供給条件(露側条件:契約調印6年後に40億m3供給開始。300億m3はその10年後)とガスプロム側が中国側に前金要求している点である。

 幹線P/L迄と支線P/Lを算入すれば計4000キロ以上の新規P/L建設が必要となり、ガス田開発とP/L建設総工費は500億ドル以上にも達すると言われている。

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Toshihiro Sugiura (公財)環日本海経済研究所共同研究員

1973年3月 大阪外国語大学ドイツ語学科卒

1973年4月 伊藤忠商事入社。 輸出鉄鋼部輸出鋼管課配属。ソ連邦向け大径鋼管輸出業務担当。 海外ロシア語研修受講後、モスクワ・サハリン・バクー駐在。 ソデコ(サハリン石油ガス開発)出向、サハリン事務所計7年間勤務。伊藤忠商事/アゼルバイジャン共和国バクー事務所6年8カ月勤務。

2011年4月 バクーより帰任。

2011年5月 (財)日本エネルギー経済研究所出向、研究主幹。2015年3月伊藤忠商事退職。現在、(公財)環日本海経済研究所共同研究員
 

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