三井住友銀行が人事制度改革を積極的に進めている。VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代とも言われる経営環境の変化に伴う、危機感に裏付けられた取り組みだ。どのような施策を実施しているのか。人事部副部長の北山剛氏に聞いた。
金融機関を巡る環境が大きく変化
――三井住友銀行の人事戦略は、保守的なイメージがある金融業界において先進的な取り組みが多い印象です。どのような経緯で現在のような戦略を取るに至ったのでしょうか。
北山剛氏(以下敬称略) 三井住友銀行を中核とするSMBCグループは、2017年4月より事業部門制・CxO制を導入し、グループ経営に大きく舵を切りました。一方で、人事のフィールドにおいては、各社の良さをこれまで以上に引き立てていくためにどうするべきか、多くの議論を交わしてきました。
人事も経営体制同様に一体化をしていくべきか。制度面や運用一つ取っても、各社固有の歴史を持つ企業体が集まっているため、そこをどうそろえていくのか・・・。これまでの取り組みでは、各社ごとの特異性はフォローしつつ、グループの一体感を意識しながら進めてきたのが実態です。
2020年4月には、SMBCグループで「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」というビジョンを掲げました。金融と非金融の事業領域の壁が薄れていく中で、競争はかつてないほど激しくなっています。これまでと同じビジネスモデルから変わっていこうとする中で、人事戦略も従来のやり方の延長線上では対応し切れません。
逆に言えば、この変化は大きなチャンスでもあります。そこに伍する人材を育成していくことが、私たち人事に求められる課題だという考えの下、さまざまな施策を講じています。