三井住友銀行頭取CEOの福留朗裕氏(撮影:宮崎訓幸)

 今年、デジタルとアナログ(対面)のハイブリッド戦略に大きく舵を切った三井住友銀行。その先導役を果たすのが、3月にスタートした個人向けモバイル総合金融サービスの「Olive(オリーブ)」だ。4月に同行の頭取に就任した福留朗裕氏に、Oliveを軸にしたデジタル戦略の狙いについて聞いた。

<ラインナップ>
【前編】三井住友銀行・福留頭取が約16年の海外駐在で実感した「現場主義」の大切さ
【後編】三井住友銀行・福留頭取が語る、モバイル総合金融サービス「Olive」の勝算(本稿)


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半年間で100万超のアカウント開設数を達成

――個人向けのビジネスとして今年3月にサービスインしたOliveが話題です。1つのアカウントで、キャッシュ、クレジット、デビットの各カードの使い分けができるほか、ポイント払いや保険、証券まで1つのアプリで管理、切り替えができる点が大きな特徴です。

福留 朗裕/三井住友銀行頭取CEO

1963年1月1日生まれ、60歳。岐阜県岐阜市出身。1985年3月一橋大学経済学部卒後、三井住友銀行入行。入行後6年弱の支店勤務(赤坂通支店・京都支店)を経て、現在の市場営業部門にて19年にわたりトレジャリー業務に従事。この間、ロンドン、香港、上海、ニューヨークの各拠点に計14年弱駐在。2010年から2年間のカナダ三井住友銀行社長とあわせ、海外勤務経験は16年弱に及ぶ。2012年に帰国し市場資金部長に就任後、2013 年に本店営業第六部長に就任。2015 年からの約3年間は、ホールセール部門の名古屋駐在ヘッドとして、東海地域における SMBCのプレゼンス向上、取引拡充を進める。2018 年からの3年間は、トヨタ自動車の販売金融事業本部長 兼 トヨタファイナンシャルサービス社長に就任。2021年三井住友銀専務執行役員に就任し、2023年4月から現職。

福留朗裕氏(以下敬称略) Oliveのサービスは個人向けのリテール戦略の扇の要ですし、今後のリアル店舗の在り方についてもまずOliveありきで考え、その展開に合わせて店舗戦略も変えていきます。それくらい、あらゆることの中心にOliveを据えていく考えです。

 おかげさまで、3月からの半年間でOliveのアカウント開設数は100万口座を超えました。半年で100万口座突破というのはかなり好調だといえるでしょう。また、30代から40代の働き盛りの資産形成層の新規口座数が、従来の倍ぐらいのペースで増えているのも特徴です。

 加えて、当行にとって大切な付帯取引、具体的には給与振込み口座に紐づき、決済でもお使いいただいているケースが非常に多く、1口座あたりの残高も従来の平均値よりはるかに多くなっています。支店が少ない地方のお客さまの口座開設も大きく増えています。

 Oliveの差別化の1つに、使えるコンビニや飲食店での高還元率のポイントがありますが、2024年春に我々のVポイント(登録会員数2000万人)とTポイント(カルチュア・コンビニエンス・クラブが展開し登録会員数は1億2600万人)が統合する予定(存続は新Vポイント)です。

 そのタイミングに合わせて新たなポイント機能も鋭意開発中ですのでご期待ください。我々にとっても、それだけ大きな会員のニーズやデータが直接把握できるようになり、先々のOlive戦略のアップデートにおいて力を発揮してくれるものと期待しています。