今年、デジタルとアナログ(対面)のハイブリッド戦略に大きく舵を切った三井住友銀行。その先導役を果たすのが、3月にスタートした個人向けモバイル総合金融サービスの「Olive(オリーブ)」だ。4月に同行の頭取に就任した福留朗裕氏に、Oliveを軸にしたデジタル戦略の狙いについて聞いた。
<ラインナップ>
【前編】三井住友銀行・福留頭取が約16年の海外駐在で実感した「現場主義」の大切さ
【後編】三井住友銀行・福留頭取が語る、モバイル総合金融サービス「Olive」の勝算(本稿)
半年間で100万超のアカウント開設数を達成
――個人向けのビジネスとして今年3月にサービスインしたOliveが話題です。1つのアカウントで、キャッシュ、クレジット、デビットの各カードの使い分けができるほか、ポイント払いや保険、証券まで1つのアプリで管理、切り替えができる点が大きな特徴です。
福留朗裕氏(以下敬称略) Oliveのサービスは個人向けのリテール戦略の扇の要ですし、今後のリアル店舗の在り方についてもまずOliveありきで考え、その展開に合わせて店舗戦略も変えていきます。それくらい、あらゆることの中心にOliveを据えていく考えです。
おかげさまで、3月からの半年間でOliveのアカウント開設数は100万口座を超えました。半年で100万口座突破というのはかなり好調だといえるでしょう。また、30代から40代の働き盛りの資産形成層の新規口座数が、従来の倍ぐらいのペースで増えているのも特徴です。
加えて、当行にとって大切な付帯取引、具体的には給与振込み口座に紐づき、決済でもお使いいただいているケースが非常に多く、1口座あたりの残高も従来の平均値よりはるかに多くなっています。支店が少ない地方のお客さまの口座開設も大きく増えています。
Oliveの差別化の1つに、使えるコンビニや飲食店での高還元率のポイントがありますが、2024年春に我々のVポイント(登録会員数2000万人)とTポイント(カルチュア・コンビニエンス・クラブが展開し登録会員数は1億2600万人)が統合する予定(存続は新Vポイント)です。
そのタイミングに合わせて新たなポイント機能も鋭意開発中ですのでご期待ください。我々にとっても、それだけ大きな会員のニーズやデータが直接把握できるようになり、先々のOlive戦略のアップデートにおいて力を発揮してくれるものと期待しています。