撮影:榊水麗

国内リース大手の三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、2010年代後半からDXへの取り組みを加速。現在は2030年に向けたビジョンの下、リース事業の専門性を生かしたデジタルソリューションと人材開発に注力している。同社が目指す金融事業とデジタルの関係を、取締役専務執行役員としてDX戦略をリードする関口栄一氏に聞いた。

2019年の「デジタル先進企業宣言」に込めた決意

――中期経営計画(2023~2025年度)の2年目が終わり、最終年度に入ります。三井住友ファイナンス&リース(以下・SMFL)の現在の事業概況はいかがでしょうか。

関口栄一氏(以下・敬称略) おかげさまでこれまでのところ、計画に対して順調に進捗しています。

 この要因は、当社の主業であるリース、ファイナンス事業が堅調なこともありますが、そのベースに加えて、お客さまの課題を解決する「ソリューション提案」についても、かなりエッジの立ったサービスを提供できる力を付けてきたことが寄与して成長につながっていると考えています。そして、成長の原動力となっているのがDXです。

 当社は2019年に「デジタル先進企業」を目指すことを宣言しました。当時すでにDXという言葉は社会に広まっていましたが、率直にいって、社外だけでなく、社内のさまざまな部門からも「え?」という反応が多かったようです。なぜリース会社が、デジタル先進企業になると言っているのか戸惑いがあったのだと思いますが、私たちにはそうなれる確信がありました。

 当社は、2016年に旧GEキャピタルをグループに迎え入れました。同社のデジタルチームが核となり、変革をリードしてきました。最初はごく少人数からスタートしましたが、10名、20名と拡大していき、今では100名を超えるデジタル専門部隊として活動しています。

 ただ、この専門部隊が社内に「出島」のように存在して、DXを受け持っているのかというと、少し違います。むしろ、そうならないようにしていると言った方がいいかもしれません。