
大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)で間もなく開幕する大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)。会期は4月13日~10月13日)。同万博の経済効果は約2兆9000億円(経済産業省の試算)とされており、東京一極集中が止まらない状況下、万博を起爆剤として関西経済の本格的な復権につながるのか注目が集まる。2017年に関西経済連合会(以下、関経連)会長に就任し、万博の誘致段階から尽力してきた松本正義氏(住友電気工業会長)に、万博開催の意義や関西に残し得るレガシー(遺産)などについて話を聞いた。
一筋縄ではいかなかった招致、開催までの苦労
──いよいよ大阪・関西万博が開幕します。松本さんは関経連会長として誘致活動にも携わってきましたね。
松本正義氏(以下敬称略) 誘致活動では、まず関経連の会員企業から募金を集めてパリに駐在員事務所を置きました。パリには万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE)があり、投票もパリで実施しますので、各国の駐仏大使が鍵を握ることになります。そこでパリに事務所を出して活動しなければいけないと考えたわけです。
駐在員には、各国の大使館を足しげく訪ね、日本の万博コンセプトなどについて丁寧に説明してもらいました。彼らが東奔西走した総距離は地球何周分にもなるかと思われます。また、商社のネットワークや人材のお力添えもいただき、世界中の国に説明しに行きました。
ただ、当初は「大阪・関西万博なのだから関西の誘致事案。関経連に任せておけばいい」と、大阪以外の経済界ではほとんど関心を示してもらえませんでした。それはマスコミも同様で「本当に大阪に誘致して開催できるのか?」といった、懐疑的な論調がほとんどだったと思います。

──そうした批判もはねのけ、2018年11月にロシアとの決戦投票の末、万博招致を勝ち取ったわけですが、開催までにはさまざまな問題も発生しました。