KADOKAWA 取締役 代表執行役社長 CEOの夏野剛氏(撮影:榊水麗)

 KADOKAWAがグローバル展開を本格化している。近年は海外拠点の新設やM&A(合併・買収)を通じて、各地域でのIP創出・メディアミックス展開に注力。2024年12月にはソニーグループによる追加出資も発表された。成長戦略の核に据えるのは、“仲間づくり”による体制強化と市場拡大だ。世界市場での競争力をどう高めていくのか。夏野剛社長に聞いた。

ライセンスアウトからの方針転換

――近年、KADOKAWAでは海外拠点のM&Aを積極的に行うなど、グローバル展開に力を入れている印象です。どのような戦略を取っているのでしょうか。

夏野剛氏(以下、敬称略) 当グループは2023年以降に海外拠点を6つ増やし、現在22となりました。海外売上高比率も20%を超えています。当社では「グローバル・メディアミックス with Technology」を掲げており、今後も拠点数・海外売上高ともに拡大していく方針です。

 すでに北米やアジア、ヨーロッパなどの主要市場は押さえていますが、世界にはまだ大きな可能性を持つマーケットが残っています。人口が多く、一定の売り上げ規模が期待できる地域には全て拠点を設けたいと考えています。

 これまで各出版社の海外展開の多くが「ライセンスアウト」方式でした。つまり、当社のIP(作品などの知的財産)の権利を現地出版社にお渡しし、ビジネスの実行も任せる形です。この場合、当社に入るロイヤルティーは売り上げの10%以下にとどまり、大きな事業規模にはなりません。そこで当社は、現地に自社拠点をつくり、流通・販売まで自社で担うことで、売り上げや利益をフルに確保できる戦略を取っています。