トイレの扉にIoTセンサーを設置することで、スマートフォンから個室の空き状況をリアルタイムに可視化した「KDDI IoTクラウド ~トイレ空室管理~」と、トイレの個室内に設置された人感センサーと高機能フラッシュバルブを組み合わせることで、利用者の滞在時間によって適切な水量の流し分けを実現した「KDDI IoTクラウド ~トイレ節水管理~」のサービス提供開始を発表したKDDI。KDDIとトイレという異色の組み合わせが、メディアを賑わせた。
キャリアのイメージが強いKDDIがIoTに参入するというのは、意外に思う人もいるかもしれないが、実はKDDIのIoTに関する歴史は長い。 IoTの前身であるM2M(Machine to Machine)の時代から、位置情報を活用したセコムの見守りサービス「ココセコム」、 2002年のトヨタ自動車「G-BOOK」など、15年以上にわたって企業向けのネットワークを提供し続けているのだ。
「電力会社の電力量計であるスマートメーターが普及するにつれ、KDDIの法人M2M/IoT回線の契約数は指数関数的と言っていいほど順調に拡大しています」と話すのは、KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏。そう言われてみると、電力会社の検針員の姿を見かけなくって、久しい。 かつて毎月各戸を回って目視で計測されていた電力の使用状況は、IoTの恩恵を受けて、消費者自身がリアルタイムに管理できるまでに進化している。
2025年には、ネットワークに繋がったモノが500億個を超えるとの見方もある中で、KDDIはどう戦って行くのだろうか。
IoT時代、外部環境の変化を見逃すな
「自戒の念を込めて言うと、IoT時代に入る以前のKDDIは、目の前のお客さまである企業だけしか見ておらず、ネットワークやサーバーといった手段を売るだけのビジネスに留まっていました。
しかし、IoTによって、企業が提供するサービスを通じて、その先にいる一般のお客さま(消費者)のところまで繋がることができるようになった。これから我々が向き合わなければならないのは、一般のお客さまの顧客体験価値の最大化であり、それを実現することです。これによって、結果的にお客さま企業の売上拡大と収益力向上を図ることができると考えています」と原田氏は語る。
原田圭悟氏
この“課題解決の手段を売るビジネス”から“顧客体験価値を提供するビジネス”へのシフトが迫られているのは、多くのB2B企業にとって普遍的な課題であろう。
もうひとつ、IoT時代の始まりによってもたらされた大きな変化として、“業種を超えた企業同士の連携”が挙げられる。発注者・受注者という単なる主従関係ではなく“パートナー”としてタッグを組むことで、互いに足りないところを補完しあいながら、イノベーションを起こしていくのだ。
「IoTから集まったデータを見ていると、『あのお客さまのビジネスと組み合わせたら面白いことができるのではないか』とアイデアが出てくることがあるので、我々の方から業種の異なる企業同士のハブとなるような取り組みも実際に始めていますし、KDDIが保有するデータとお客さまがIoTで集めたデータを組み合わせることで、新たな付加価値を生み出すケースも出てきています」(原田氏)
あらゆるレイヤーを網羅したKDDIのIoTサービス
では、KDDIのIoTサービスには、どのようなものがあるのだろうか。
“IoTは気になっているが、何から始めたらいいのか分からない”、“IoTの知見を持った人材がいないので、投資対効果が見合うか不安だ”という企業から好評を得ているのが、IoTシステムの開発だけでなく、新ビジネスの企画から開発・評価・改善までを一気通貫でKDDIのチームがサポートしてくれる「KDDI IoTクラウド Creator」だ。
すでに自社でIoTデバイスを開発している企業なら、IoTに特化した従量課金制のネットワーク「KDDI IoTコネクト Air」を使って、さっそくIoTを実践していくといいだろう。「KDDI IoTコネクト Air」はオンラインで申し込み、受け取ったSIMをIoTデバイスに差し込んでAPN設定をするだけで、すぐにIoTを始めることができるという特長がある。
いきなり本格的に運用を始めるのではなく、まずは実証実験からスタートしたいという企業には、IoT向けの新たな通信方式「LPWA(Low Power Wide Area)」を活用できる「LoRa PoCキット」がオススメだ。LoRaデバイス10台、LoRaゲートウェイ、6カ月分の通信費など、LoRaの検証に必要なシステム一式を6カ月120万円(税別)で利用することができる。
「KDDIではIoTに必要な『デバイス領域』『回線領域』『クラウド領域』のあらゆるレイヤーで最適なサービスをご用意しています。お客さまには、自社に足りないリソースをうまく組み合わせて使っていただきたい」と原田氏は説いた。
“IoTでコスト削減”の発想はもったいない
とはいえ、ある程度の初期投資が必要なIoTを、ビジネスアイデアが0の状態から始めるにあたり、リスクが大きいと感じてしまうのは、やむを得ない。実際、KDDIに相談する企業の多くは、すでにあるビジネスについて「IoTでコスト削減できないか」「IoTで業務効率化を図れないのか」といったコストリダクション型の要望を出すケースが多いのだという。
「しかし、IoTを投資対効果の観点で見るのは、非常にもったいないことです。例えば“今かかっている1000万円のコストをIoTで800万円に下げる”という発想だけではなく、“1200万のコストをかけて新たなビジネスを創り、5000万円の利益を生み出す”といった提案も加えていきたい。
我々がご提案する際には、たとえコストリダクション型のご要望だったとしても、大きなビジネスを生み出す新しいアイデアもアドオンでご提供し、真のIoTの価値をお伝えするようにしています」(原田氏)
IoTの業務提案を行うメンバーと、データ分析を得意とするメンバーの2層体制でチームを作っているKDDI。IoTで一歩踏み出してみたいと思ったら、まずは相談に行くところから始めてみてはいかがだろう。
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